2020年11月25日

ブランドはどう生まれ変わるのか〜4人のシンガーの在り方

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

突然ですが、シンガーソングライターの松任谷由美さんをご存知でしょうか。
矢野顕子さんは? 大貫妙子さんはご存じですか。
では、吉田美奈さんはいかがでしょうか。

今日のコラムでは、若き頃、バンド活動をしていた!
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
4人のシンガーソングライターの在り方を通して、
ブランドの話をします。

それでは、早速。

 

 

今日は、以前、友人に誘われて
あるシンガーのライブを見に行ってときの話をします。

シンガーの名前は吉田美奈子。
1970年代から活躍する超実力派の歌手です。

ご自身のアルバムはもちろん山下達郎の初期のアルバムに
歌詞やコーラスで参加しています。

ずいぶん昔、彼女が
プロ歌手に歌を教えているという噂を聞いて
真偽は確かめていませんが
彼女なら有りえるな、と思ったくらいの力の持ち主。

いわゆるミュージシャンズ・ミュージシャン、
プロの音楽家に惚れられる、尊敬される音楽家です。

 

昔、山下達郎さんが
1970年代から1980年代を通じての
日本の女性シンガーソングライターの才能は
「松任谷由美、矢野顕子、大貫妙子、吉田美奈子の4人に尽きる」と
言ったくらい。

 

そのときのライブ会場は東京・目黒にあるライブハウス。
新型コロナウィルスの影響がないときでしたので、
およそ150名ほどのキャパシティで
立ち見もいっぱいの超満席でした。

バックバンドのメンバーも
さまざまなヒットアルバムで演奏をしている
超プロフェッションナルな名うてのミュージシャン揃い。

ステージが始まると、彼らメンバーを軽くいじりながら
貫禄のある女王然とした吉田さんが音の世界を、
その空間いっぱいに広げて行きます。

ソウルフルな歌は、ささやき声から歌い上げる高音、
いまではめったに歌いこなす人がいなくなった
低く伸びのある声など、からだそのものを鳴らしながら
縦横無尽に歌います。

1ステージ1時間半ほどを2ステージ。
こころから堪能しました。

 

さて。彼女の歌を堪能したあと自宅に帰る道すがら
ブランドとは何かを考えてしまいました。

 

ある程度の年配者で音楽好きでなければ
彼女の名前を聞くこともないでしょう。

ためしに弊社の30代のスタッフに名前を知っているか
尋ねたところまったく知りませんでした。

 

「松任谷由美、矢野顕子、大貫妙子、吉田美奈子の4人」で
ソングライティングの才能では、
この4人の中では大貫妙子さんが一つ頭を抜けているかもしれません。

ピアノと歌唱のパフォーマンスでは
矢野顕子さんはずば抜けた才能の持ち主です。

そして、大ヒットを何度も飛ばし、
日本のミュージックシーンを引っ張ってきたのは
間違いなく、ユーミンこと松任谷由美さんです。

音楽好きである世代以上であれば
吉田美奈子さんは他の3人と並ぶか、それ以上の輝きを放ちますが
“吉田美奈子”の知名度はかなり低い。

ごく一部が熱狂的に支持するブランドと言えるでしょう。

 

この4人を冷静に観察すると、
ブランドがどう生まれるのかが分かります。

つまり、「ブランドとは分かりやすさ」から
生まれるのです。

 

そう、“分かりやすさ”です。
意味や価値が分かりやすく伝わっているか。

ブランド感、そしてそのメジャー感とは言いかえれば
「価値が分かりやすい」ことなのです。

 

逆にいえば
「価値を分かりやすくして伝えること」に成功すれば、
そのブランドは、メジャーなブランドになる可能性が高まるわけです。

メジャーなブランドと、そうでないブランドの間に
明確な価値の差があるわけではありません。

それはただ一つ「価値が分かりやすいか」が
そのポジションを分けていると言えるのです。

 

「松任谷由美、矢野顕子、大貫妙子、吉田美奈子の4人」のうちで
吉田美奈子さんは、他の3人と比べて、まったくメジャーではありません。

ただ、吉田さんご本人は
そんなこと歯牙にもかけないでしょうが。(笑)

 

そのようなメジャー、マイナーを超越したポジションに
彼女は何のためらいもなく、時を超えた王女のように
草原の牝ライオンのように、謎のシャーマンのように立ち、
歌声を響かせています。

駅から離れた住宅街の裏道に
隠れ家のようにある、とびきり美味いレストランのように。

 

そして、この在り方も
立派なブランドとしての選択でもあるのです。

 

 

いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!