2018年10月19日

ポジショニング戦略、ポジショニング・マップのすべて!  ~ 基礎からの完全解説 ~

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ここでは、ブランディングやマーケティングやで死活的に重要な「ポジショニング」の概要を解説します。

 

ポジショニングとは、どんなマーケティングスキル?

 

まず、ポジショニング(Positioning)は、そのまま直訳すれば「位置取り」です。

 

これがマーケティングの中で、非常に重要だとの論議が1960年代にアメリカで巻き起こり、

Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)=STP戦略が非常に重視されるようになりました。

 

Segmentation(セグメンテーション)は市場分割で顧客の幅を見る作業。

Targeting(ターゲティング)はセグメントされた市場から顧客を選ぶ作業。

そして、最後のPositioning(ポジショニング)で、その顧客の中で、つまり市場の中で、どういう位置取りで製品や事業、企業を置くかを考えたものです。

 

ポジショニングの意味は

その意味合いは以下のように解釈されています。

 

 

ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/)の「STPマーケティング」によれば・・・

≪STPマーケティングとは、効果的に市場を開拓するためのマーケティング手法の事。マーケティングの目的である、自社が誰に対してどのような価値を提供するのかを明確にするための要素、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の3つの頭文字をとっている。フィリップ・コトラーの提唱した、マーケティングの代表的な手法の一つ。≫に続いて以下の解説が載っています。

 

ポジショニング(positioning) 顧客に対するベネフィット(利益)を検討する。自らのポジションを確立する。そのためには、顧客のニーズを満たし、機能やコスト面での独自性が受け入れられるかがポイントとなる。

 

 

weblio辞書(https://www.weblio.jp/)によれば・・・

自社の製品やサービスを他社と差別化するための、市場での戦略的位置づけのこと。

自社のポジショニングをどうとるかがマーケティングにおいて非常に重要な作業となります。ポジショニングの要素としては

・製品特徴

・製品がもたらすベネフィット

・競合比較

・ターゲット

以上4つの視点から、ポジショニング分析をおこない戦略を策定してゆきます。一般的にポジショニング図を活用した分析が行われます。

 

 

◆グロービス経営大学院 MBA用語集

(https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11994.html)によれば・・・

ポジショニングとは、ターゲット顧客の頭の中に、自社製品について独自のポジションを築き、ユニークな差別化イメージを植えつけるための活動。顧客に自社製品のユニークな価値を認めてもらうことで、競合製品に対して優位に立つことを目的にしている。(以下略)

 

 

ここで当たり前のように重要なのが、ポジショニングは確立されても私たちの目には見えないということです。グロービス経営大学院のMBA用語集にある通り【ターゲット顧客の頭の中に~ユニークな差別化イメージを植えつけるための活動】なのです。

 

つまり、市場内で、自社の製品・事業・企業のイメージ的性向を、意図した心理的位置取りに置く活動を、私たちは「ポジショニング」と呼んでいるのです。

 

 

ポジショニング戦略の組み立て方

では、こうしたポジショニング戦略はどのように組み立てて行けばよいのでしょうか。

ポジショニングはSTP分析による戦略に沿って考えて行くことをおすすめします。

STPは冒頭でも述べましたがSegmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取ったマーケティングを手法を言います。

近代マーケティングの父、フィリップ・コトラー(ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院SCジョンソン特別教授)がつくりあげたもので、マーケティングを進める上での、もっとも基本的で重要な考え方だと言っても良いでしょう。

 

◆Segmentation(セグメンテーション)

セグメンテーションは「市場細分化」とも言いますが、顧客を決定する次のステップのための整理と捉えていただければ間違いないです。

ここではさまざまな要素で市場を切り分けます。つまり、細かく分けてみて行きます。

以下の4つの領域に分けるのが基本です。

 

1.地理的変数(ジオグラフィック変数)

地理的な要素で市場をセグメントします。

国や地域、都市の規模、発展度合い、気候、風土、宗教、文化などの要素

 

2.人口動態変数(デモグラフィック変数)

人口などの特性、人の特性でセグメントします。

性別、年代、年齢、職業、所得、家族構成、学歴などの要素

 

3.心理的変数(サイコグラフィック変数)

心理的なものに結び付く特性でセグメントします。

価値観、心理的な特長、ライフスタイルなどの要素

 

4.行動変数

実際の購買行動などでセグメントします。

購買状況、購買プロセス、購買態度、頻度などの要素

 

市場を細分化することのメリットは、自分たちの商品をもっとも購入し、喜んでくれる顧客層の条件を明確化できることにあります。そして、セグメンテーションの作業は次のステップであるターゲティングと、ほぼひと続きになっています。

 

可能性を逃さないため、一旦、すべてに網掛けしてセグメントしてみることをお勧めします。セグメンテーションの作業で意外なターゲットが見つかることがあるからです。市場調査と合わせれば、かなり精度の高いセグメントが可能です。

 

 

Targeting(ターゲティング)

セグメントつまり細分化された市場の中で、もっとも可能性のある顧客層を決める作業です。1~4の変数の重なりを見ることで、動きそうな層を確定していきます。

たとえば、時短で環境性能の良い洗剤の新製品、しかし環境性能を追求したおかげで少し価格が高めです。そんな製品があったときのセグメンテーションからターゲティングへの流れは、ビジネスの置かれている状況により千差万別です。

国際企業であれば、このセグメンテーションは世界を対象に行うでしょう。

ヨーロッパでも環境先進地域であるドイツや北欧諸国、オランダやベルギーなどをジオグラフィックに選択し、その地域で、さらに人の特性や心理的な特性でターゲットを絞りこんでいくかもしれません。

もし、日本国内の大手企業であれば、その商品は、都市部に住むダブルインカムで育ちざかりの子どもが1~2人居る、ある程度収入のある層の30代~40代の主婦がターゲットになるかもしれません。

しかし、漁村や農村などでも意識の高い地域に住む主婦層や、地域にIターン、Jターンした層、都市部のシングルで暮らす30代の男性サラリーマンがターゲットとならないとも限らないのです。

その洗剤が国内の小さな企業の新製品であれば、販売ルートの関係から、ターゲットは自然食のお店に来るお客様となり、そうすると50代や60代の食に関心のある女性メイン、男性サブのターゲットという可能性もあります。

この時、おおよそ確定したターゲットを判断する基準は以下のようなものがあります。

・市場規模:自社に合った市場規模があり、利益は確保できるか?

・独自性:自社や製品の強みを生かせる市場か?

・市場状況:競合の戦略、シェアや浸透度はどうか?

・ライフサイクル:市場は導入期、成長期、成熟期、衰退期のどれにあたるのか?

・環境要因:自社以外の外部要因(政治、経済、テクノロジーなど)はどうか?

こうした要因を考えた上で、OK!この市場に参入しようとしたときに、まず取り組むのがポジショニングです。

どういうポジショニング、つまり立ち位置、見え方で闘うと有利になるのかを検討するのです。

 

 

◆Positioning(ポジショニング)

ポジショニングとは、自社に有利で他社は不利な違いを見つける作業です。この作業は必ず2軸または複数の違いを見出していかなければなりません。こうして作られるのがポジショニング・マップです。

 

 

顧客の心の中で、どのようなポジションを占めたいのかを探していきます。顧客ニーズと提供できる価値、差別化できる独自性を考慮します。また、競合が自社と同じポジションを占め、差別化しにくい場合には、差別化できるよう何度も書き直しながら、軸を見つけていきます。

このABCDの2軸のことばの切り口は以下のようなものがあります。

 

1)物理的機能

水で焼くレンジ、デザインが特徴的な車、文字が消せるボールペン、

話すだけで操作できるPC、お湯を注いで30秒で食べられるカップご飯・・etc

 

2)心理的ベネフィット

運転がとても楽しい車、居心地のいいレストラン、

着ると自分が1ステージ上がった気になる服、子どもに安心して遊べる家・・etc

 

3)顧客属性

居住地、年齢層、家族構成、年収、準拠集団etc

 

4)価格帯 

 

他)別カテゴリー

別カテゴリーと比較する ex 車⇒バス、飛行機、新幹線

メタファー :別ジャンルで例える  ex 車⇒ホテルor俳優

 

以下は事例として高級車のポジショニングをマッピング化したものです。

2つの切り方でのポジショニング・マップを挙げておきます。

 

 

このようにして顧客の心の中での有利なポジショニング、望むポジショニングを、形にしていきおます。

これはブランドで言えば、イメージの方向性を描いた地図とでも言うべきもので、このポジショニングに沿って具体的な戦略・戦術を組んでいくのが近代マーケティングの方法です。

こうしたポジショニングは一種の慣れでもありますので、4象限のマップを取り入れて思考するクセをつけていってください。このあと、いくつかのポジショニング戦略をご紹介します。

 

 

ポジショニング戦略を事例で考える

~スマートフォン市場~

ポジショニングという心理的な位置取りは、他の競合商品との関係の中でしか定まりません。つまり競合に対して、顧客心理の中で、どのような位置取りをするかがポジショニング戦略になります。

たとえばiphoneのポジショニングは、2007年発売当時はそれほど考える必要はありませんでした。なぜなら、革新的な商品であり、スマートフォン・カテゴリーを創ってしまったからです。しいて言えば、従来の携帯電話(ブラックベリーなど)を徹底的に陳腐化するポジショニングだと言えます。

 

新世代 VS 旧世代

しかし、サムソン「ギャラクシー」などのアンドロイド携帯の登場は、iphoneのポジショニングを考える必要に迫られます。サムソンはiphoneにない、映像系の新機能や、その高度化、メモ用のペンシル搭載などを打ち出し、高機能で差別化を図っていきました。そして価格は当初はiphoneよりも手に入りやすい立ち位置です。ポジショニングでいえば最高機能イメージをAppleと真っ向から取り合っている構図です。サムソンのポジショニングから見る戦略は以下のように整理できます。

 

▼サムソンのポジショニング変更

 

iphoneの代替機  ⇒  iphoneと並ぶ高級機

 

 

これは戦略的には成功します。スマートフォン市場でしっかりと足場を築く、20%超のシェアを確保したからです。Appleのシェアが12%台なので大成功と言ってもいいでしょう。

ここに、ファーウェイやシャオミー、OPPOなどの中国勢スマホが出てきまます。最初は低価格路線を打ち出し、開発途上国でシェアを奪いに行きました。というよりスマートフォンがほとんど普及していないか、まだいわゆるガラケーを使っている地域での製品のスイッチ戦略です。サムソンやアップルとは、ほぼすみ分けるポジショニングです。

 

▼中国製スマホの高級機と重ならないポジショニング戦略

 

開発途上国用 低価格機 | 先進国用 普及機・高級機

 

 

しかし、最近ではそこで徹底的に磨いた製品づくりを、先進国地域のマーケティングでも活用するようになってきました。つまり、サムソンが行ったポジショニングの切り替え、高度化したカメラ機能やアンドロイドアプリの手軽さを追いかけはじめたのです。

 

▼中国製スマホのポジショニング変更

開発途上国用 低価格機 ⇒ Apple、Samsungのような普及機・高級機

 

こうなると、高級機市場のポジショニングが混乱してきます。その煽りを受けているのがアンドロイド陣営のサムソンです。つまり、普及しやすくアプリ開発がしやすいアンドロイド機は、逆にいえば非常に算入しやすい市場で、機能が同じならば価格が安い方に流れます。ここに開発途上国や中国国内の激戦市場を勝ち抜いてきたメーカーが参入してきているのです。したがって一応、スマートフォンでは世界一のシェアながら、2017年~2018年では前年から2%程度シェアを落とすことになりました。

 

CNET JAPAN(https://japan.cnet.com/article/35123382/)より転載

 

 

この動きではAppleが順位を落としたことが話題になりましたが、実はシェアは11.8%から12.1%と伸びているのです。史上初の時価総額1兆ドル企業になったのも、順位を落としてからのなのです。つまりAppleはそう問題にしていないのではないかと想像します。

AppleはiphoneXのあたりから明らかにポジショニングを変えてくる戦略を採用しているように考えられます。それは徹底的な高級機路線です。要は「ハイテク機器のエルメス」です。もともとスティーブ・ジョブズ時代からデザインには徹底的にこだわっているだけあって、Appleの機器のデザインレベルは群を抜いています。

幸い、iOSという囲い込み戦略があるため、取りこんだ顧客がアンドロインド陣営に流れることは少なくて済んでいます。これはパソコンからタブレット、時計、TV、iphoneさらにitune、icloudとすべての機器を連携できるハイテク機器のフルラインメーカーである強みが十分に生かされていると言ってよいでしょう。Appleはiphoneにおいて、以下のようにポジショニングを変更してきました。今後はAppleはマスを相手にしつつも「エルメス化」する道に入っています。もっともステータスの高いポジションを獲得する戦略です。

 

▼iphoneのポジショニング変更

 

スマホ市場創造 ⇒ 普及機・高級機 ⇒ ハイエンド機 ⇒ ラグジュラリー機

 

このように市場は必ず変化する以上、ポジショニングも常に変化圧にさらされます。常に市場動向を見守りながら、ポジショニングを強化する、位置取りを変えていくなど、有利な陣地を確保するように動く必要があります。

以下がスマートフォン市場の世界基準で見たポジショニング・マップです。

 

スマートフォンは機能的には今後たぶん似たようなものになるはずなので、つまりテレビと同じ運命をたどるので、その後は、ブランドのイメージが切り札になってきます。つまり、いまファッション・ブランドと同じような差異化の波が今後の成長を左右するようになるということです。

その時、心因的なブランド・イメージの要素がどれほど強いものを持っているかで、これらのポジショニングにおける有利不利の帰趨が決まってくると思われます。

 

 

後発のポジショニング戦略

いまの市場は、競争市場でないところはほとんどありません。新しい市場あるいは新しいカテゴリーも新規参入が続き、競合が激しくなります。そのため有利なポジションを取ることがビジネスの継続には必須となります。

もっとも有利なポジショニングとは、自分で立ち上げたカテゴリーそのものが大きな市場となる場合です。実は、これは最初の、先発のブランドよりも、後発が有利になることがあります。なぜなら、先発のブランドの欠点を修正したり、補って登場するのが後発ブランドだからです。

先ほどのスマートフォンで言えば、iOSの囲い込みや自由度の少なさを補うかたちでgoogleはアンドロイドを発表しました。こうした先発と後発の図柄はあらゆるところで見られます。

 

ebay ⇒ Amazon

マイクロソフトIE ⇒ google chrome

uber ⇒ Lift

ヤフーオークション ⇒ メルカリ

既存SNS ⇒ LINE

 

コピーキャットといわれる中国の現在の経済状況を支えているのは、徹底した後発のポジショニング戦略です。日本が高度成長期に採用した戦略とまったくいっしょです。

 

良いものを安く ⇒ 機能の高度化で並ぶ ⇒ オリジナルの創造

 

これは初期は「市場の隙間を突いていく」ニッチのポジショニング戦略です。誰も手をつけないところを見出して、そこでの勝ちをおさめて行く方式です。別に小さな市場をつくるとも言えるのですが。まずは大きな企業とは闘わない。

そこで力をつけて、徐々にメインランドに進出していくわけです。戦後の日本企業はすべてこの方式で、成長していきました。

 

対立構造のポジショニング戦略

このポジショニング戦略はもうすでに市場に巨大な競合が居たりする場合の戦略です。前の「後発のポジショニング」で述べたように、先発の欠点あるいは市場全体の変換を狙って仕掛けていく

 

先発の欠点を突くために、ここでは闘いの構図に持ち込む「対立構造のポジショニング」をつくる。わざわざ「VS=対立」の構造に持ち込むポジションを取るのです。比較対象できる立ち位置に自分たちのブランドを置けると、合気道と同じで「相手の力を使いながら自分が輝ける状態」をつくることができます。

 

たとえば、資生堂の「TUBAKI」は、「日本の女性は美しい」というキャッチフレーズでほとんどが外資系が占めていたヘアケア市場に、わざわざ「海外製品 VS 日本製品」という構造を持ちこむことによってポジションを確立しました。

 

戦略的な使命で日本の化粧品のトップブランドというポジションから攻めて行ったのです。ノルマンディー上陸作戦といっしょで、一気に商品を市場に上陸させて陸海空から大量のサポート(つまりマス広告、店頭展開)を行うという物量作戦です。

 

マーケティング的な体力がなければ成立しない手法なので、そういう意味では参考にならないかもしれませんが対立構造というのは分かりやすく、特長を知らしめ、知名度を一気に高めることができるのです

 

どのようなブランドでも、この「対立構造」を持つ込むのはポジショニングではとても有効だと思います。そう、これはランチェスター戦略的な弱者の戦略でもあるのです。

 

たとえば・・・

 

   吸引力の落ちない唯一の掃除機(ダイソン)

   Uber

   Airbnb

 

 

これらは対立構造を持つことによって普及した例だ。

 

吸引力の落ちない唯一の掃除機(ダイソン) ⇒ 他の吸引力が落ちるすべての掃除機 

Uber                 ⇒ タクシー            

Airbnb               ⇒ 既存のホテル、宿泊施設     

なぜ、「対立構造」が有効かというと対立することによって自分が際立つからです。相手の力を使って勝つといってもいいでしょうか。合気道のようなものなのです。

 

このポジショニングは、相手の力を使うので自分の力がライバルよりも劣っているとき、というより劣っているときこそ使ってほしい。そして後発ブランドに有利です。なぜなら、先発で露わになっている相手の弱点を攻めまくれるからです。

 

ブランドを立ち上げていく、何もベネフィットが無い中での、あからさまな対立構造はありませんが、相手のウィークポイントを突く、対立構造のポジショニングは有効性が高いのです。

 

 

以上がポジショニング、ポジショニング戦略、ポジショニングマップの概要です。
ポジショニングのスキルを身につけると、戦略的な思考の土台ができます。
ぜひ、日々のビジネスで活用していってください