2021年1月6日

なぜ美意識が経営に必要なのか

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
「なぜ美意識が経営に必要なのか」についてお伝えします。

それでは、早速。

 

 

きょうは以前読んだ本の中で、ご紹介したいものがありましたので、
その本のことを。

 

タイトルは、
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』。
光文社新書です。

ボストンコンサルティングを経て
いまは組織開発・人材開発を専門とする
外資系のコンサルティング会社に勤めていた
山口周さんという方の本です。
13刷以上と売れているので読んだ方もいらっしゃると思います。

タイトルは聞いたことがあるなあ・・・。
と思っていたところ、友人が大推薦しているのを聞き、
私は遅ればせながら読んだことを憶えています。

いや~、めちゃめちゃ刺激を貰いました。

この本、サブタイトルが
“経営における「アート」と「サイエンス」”。

経営ってふつーに考えれば
サイエンスだよな~と思いますよね。

 

でも、山口さんは「アート」が「サイエンス」の
上位に来ると断言します。

 

実は、こちらのコラムでもお伝えしたように
Newspicksアカデミアで対談した経営学者の楠木建先生も、
その対談の中で「経営はアートです!」と断言していたのです。

 

なぜか。

「もし、経営における意思決定が徹頭徹尾、
論理的かつ理性的に行われるべきなのであれば、
それこそ経営コンセプトとビジネスケースを
大量に記憶した人工知能にやらせればいい。」(63p)

そこから魅力的製品やサービスが生まれるとは
確かに思えません。

突出した魅力を持つ企業は、
ある意味、アート的な閃きを持つ人間を
サイエンス的なマネージングができる人間が
支える構造で出来ています。

 

HONDAの本田宗一郎と藤沢武夫。

SONYの井深大と盛田昭夫。

Appleのスティーブ・ジョブズと
一時期のジョン・スカリー。
あるいは現在のCEOのティム・クック。

Googleのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの2人と
エリック・シュミットの関係。

 

そして、気づいてみれば
私の楠木建対談をコーディネートした
山崎大祐さんもそんなお一人でした。

バングラディシュでバッグを作り、
日本への輸入販売する会社を
デザイナー役で、CEOの山口絵理子さんと立ち上げ、
500名を要する企業に育てあげています。

彼はゴールドマンサックスで
エコノミストを務めていた人物。
給与が二十分の一になりながらも、
山口さんのビジョンに共鳴し、
職を投げうって
株式会社マザーハウスを立ち上げています。

どの企業も美意識と直観に優れたビジョナリーなTOPを
冷徹でタフな片腕が支えている構図です。

 

なぜ、これが逆ではないのか。

 

それは美意識やビジョナリーな役割は
替わりが効かないからです。

美は、また思考や哲学を内包しています。

そして、新しい価値を生み出すことは
アート的なものにしかできない。

サイエンスの特長は「ロジックと再現性」です。
自然科学の理論は「追試」ができることが前提です。

つまり、論理的な筋道があり、
再現性があるということは、
極端に言えば誰にでも出来るから
サイエンスなのです。

しかし、美意識は代替することが極めて困難で、
また育てることもひと筋縄ではいきません。

それは「センスの問題」としか、
言いようがないからです。

「センスないなあ!」と言われて
言われた方がどう、何がないのかが
まったく分からないのが「センス」の厄介なところ(笑)。

有るやつにはあるし、
無い人にはかっらしきないのがセンスなのです。

およそ言語化ができない。
少なくとも非常にしにくい。

それを分かっているからこそ、
世界のトップエリートがMBAではなく、
世界的なアートスクールに通い始めている。

いまの企業経営がぶつかっている課題と
その解決の道筋を軽快な筆致でひも解いている好著です。

ぜひ!

https://amzn.to/2J4hGID

 

ちなみにHONDAの経営を陰で作りあげた
藤沢武夫さんは、私の記憶に間違いがなければ
貧しくも素晴らしい華道家だった中川幸夫さんの花を愛でる
美意識のある経営者だったようです。

 

 

いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!