2023年9月23日

「教養」って何なの?

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただきありがとうございます。
 

今回は、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
”「教養」って何なの?”
というテーマでお話しします。

 
それでは、早速どうぞ!
 
 

 
 
何度かこのメルマガで取り上げている
「教養」ということについて
今日も書きたいと思います。

 
「教養がある」が
価値を持たない時代が長く続いています。

そういうお前は、
教養はあるか、ないかと問われれば
ある!と断言したいのはやまやまです。

が、どちらかというと「ない」と
いうことに自信があります(笑)

そんなことに自信もっていても
1円のとくにもなりませんが。

 

教養という概念が廃れたのは
インターネットの普及と関係があります。

たぶん。おそらく。

エビデンスがないので
断言はできません。

 

いわゆる「知識」は
ネット上に転がっているので
探せばいいだけ。

みんながそう思いだしてから
「教養」は急速に力を無くしました。

これは世間の人(私もその一人)が
「知識=教養」と単純化した図式で
捉えているからじゃないかと思います。

 
いまの時代、
知識は数年たつと劣化します。

次の知識に置き換わるスピードが
異常に速くなっていることが
ひとつの原因ではないか。

特にテクノロジー系は
凄まじいスピードで置き換わります。

AIの進展なんかは典型です。

 
 
さて。

日本の科学哲学史の大家で
村上陽一郎先生という方が、
いらっしゃいます。

教養というと、私は
この村上先生のことを思い浮かべてしまいます。

村上先生自身が現代日本の教養人を
代表する人だと思っているからです。
 
 
現存する人で思う浮かぶ知識人は・・・

村上陽一郎
柄谷行人
浅田彰
福田和也
蓮實重彦
中沢新一
中村雄二郎
松岡正剛
出口治明
 
 
故人であれば・・・

加藤周一
大江健三郎
見田宗介
立花隆
山本七平
大森荘蔵
司馬遼太郎
梅棹忠雄
林達夫
丸山眞男
鶴見俊輔
廣松歩
三島由紀夫
福田恒存
宇沢弘文
吉本隆明

 ・・・あたりでしょうか。

 

別格としてコーランの日本語訳で有名な
井筒俊彦さんを上げたいと思います。

 
気づいたでしょうか?

上のリストは「教養人」ではなく
「知識人」と言われそうな人のリストです。

上記の知識人リストから私が勝手に選ぶ
教養人リストは以下の通りです。

 
村上陽一郎
浅田彰
加藤周一
梅棹忠雄
鶴見俊輔
井筒俊彦
司馬遼太郎
松岡正剛
出口治明
 
本当に勝手なリストです。
 
何であの人が入らないの?
ということも多々あると思いますが、
おゆるしを。

 
 
知識人と教養人、何が違うのか?
 

教養人リストに並んだ人たちに対する
私のイメージはものごとに対する
「適度な抑制」がある、ということです。

 
村上先生は、
これを「Decency(ディセンシー)」
と言っています。
 
(社会的規準からみて)見苦しくないこと、
(言動・服装など)きちんとしていること、
礼儀正しさ、品位、礼儀、作法、親切さ、寛大さ
・・・などという意味だそうです。
(Webiloより)
 
 
別の言い方をすれば
「判断を急がない」ということです。
 
と同時に「強い美意識」を持っている。
 

これらの人々や、先にリストアップされた人々は、
もちろん知識、それも古典や
評価の定まった著作を幅広く読み込んでいることは
もちろん、東西の文化や歴史にも造詣があることは
間違いありません。

 
しかし、それ以上に「教養がある」と思わせるのは
いまのSNSに溢れている、
すぐに他人を断罪する意識などとの大きな違いです。
 

急がない。受け入れるものは受け入れる。
だけど線を引くときにはきっちりと線を引き、
じぶんの立ち位置は揺るがせにしない。
 
柔らかく強靭なイメージ。
 
それが「教養」の在り方だと
この人たちは教えてくれています。
 
そう成りたいものだし、目指しますが、
今生ではむつかしいかな~(笑)

 
 

 
 
いかがでしたか。

世間では「教養」と名のつく本がは
たくさん出版されていて、
中にはベストセラーになった本もあります。
世間の人々は深層心理では、
「教養」を求めているような気もします。
知識と教養の区別がついているかは別として。

ただ、江上が指摘するように
世間の意識のあり方は「教養」を
大事にしているようには思えません。

知識偏重、時間効率優先のこの時代が続いていくなか、
教養が持つ人がいなくなったら、
この世界はどうなってしまうのか。
少し空恐ろしい思いがしてしまいました。

でも私たちは、
教養を持つひとが現代を生き、
私たちに知恵を教えてくれています。
そして過去に生きた教養人の知恵も、
本を読めば触れることができます。

村上陽一郎先生の著書や動画、講演等で
その生きた言葉に触れる。
それができるだけでも、
私たちはまだ救われているのかもしれません。

 
ではまた次回の更新もお楽しみに!