2020年11月20日

ブランドの安住の地ってどこだと思いますか?

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日はとても暖かく、
上着を来ていると汗ばむほどの日中です。
コーヒーを片手に半袖姿の人も見かけました!
もう、11月も後半だというのに・・・。

さて、今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
「ブランドの安住の地」という話をします。

それでは、早速。

 

 

「ブランド」という概念が
一般的になってきたのは19世紀末です。

せいぜい100年ちょっとの歴史しかないわけです。

海外との交易や、ビジネス自体は
大昔からあったわけですから
意外に最近と思わないわけでもありません。

なぜ、100年程度かというと
近代になって初めて大量の同じような製品、
同じような品質のものが市場に出回るようになり、
その違いを訴求する必要が生じたからです。

商売~ビジネスの歴史を見ると、
すべての市場では、まず「売る」ところからスタートし、
そして徐々に「違い」を訴えなければ
売れなくなってくる歴史をたどります。

 

マーケティングがなかなか機能しなくなる
「機能の微差」比べ~どんぐりの背比べで
ブランディングは役立ってきたのですが
その微差が、本当にどんどん極端になくなる
領域が生まれているのが現代です。

 

たとえば・・・
いまパソコンにブランドの意識は
かなり薄くなりました。

私が購入するウィンドウズ系の商品は
どこのブランドかより、
その中身がどのようなスペックで
どれくらいの性能を、
どのような価格で提供しているのか?が重要です。

正直、ブランドなんかどうでもいい。
特にデスクトップはそうです。

というのは、どこのブランドだろうと
中身は大差ないからです。
カスタマーサービスも大差ないし、
デザインも大差ない。

つまり、ブランドが
ほとんど成り立たない領域になっているのです。

テクノロジー商品、
それもコモディティに近い(値段ではなく)商品は
こういう領域に入ってきています。

 

テレビもそうです。

いまの4Kなどのテレビの違いは
ブランドロゴの違いでしか見分けることができません。

そして、よほどでない限り
無名ブランドも有名ブランドも
性能に極端な差があるわけではない。

つまり、ブランドが消滅し始めている領域が
生まれてきているのです。

 

これはあくまで
私の想像で、という断り書き付きですが
この傾向は必ずあらゆる領域に
広がると考えています。

車、家電、サービス・・。

Appleは、はからずも
この傾向を察知したのか、
さらに企業的なDNAも手伝っているのか
ブランド消滅してゆく領域の真っ只中で
きちんとブランド化することに成功しています。

成功の要因は・・・

1)ジョブズ・ストーリー
2)ハイパーデザイン
3)ブランドエクスペリエンス(体験)

・・・です。

Appleのブランディングには
1)が強力に効いています。

機能や品質や広告の打ち出し方は
ある程度、真似られても、
その企業がものづくりする背景や、哲学、思想、歴史、
こだわりや人柄はまねることはできないからです。

ブランディングのスキルは、
ある種ストーリーテリングのスキルでも
あるのです。

3)は1)と2)があってこそのものなのです。

そして、そのベースがあって
Appleは製品単体に接しても
かならずAppleトータルとしての体験として
感じられることが多い。

 

スマートフォンでもサムソンの製品は
それ単体での体験になるのですが
iphoneの場合はジョブスの人生も、デザインの味わいも
アプリの操作性もトータルでAppleとして
体験している気がするのです。

これは通常はエルメスやヴィトン、
あるいはフェラーリやクリュグなどので
ハイブランドを体験したときに
感じるものなのですが
Appleはそれを多少高いとはいえ
コモディティで行っている。

 

これは、スゴイことです。

 

と同時にこれからのブランディングのヒントが
ぎっしり詰まっています。

これからのブランドは
スモール・ブランドであろうが、
パーソナル・ブランドであろうが、
巨大ブランドであろうが、
「購入するだけもの」なのか
「体験できるもの」なのかが問われる。

体験は記憶されます。

体験は、何度も繰り返されると
長期記憶に定着します。

 

そして、そこが、いちばんの
ブランド安住の地なのです。

私たちが目指すべき場所なのです。

すべてのブランドは
長期記憶を目指しています。

 

 

いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!