2023年9月16日

「三流シェフ」の挑戦

シェア ツイート  B! はてブ Google+ Pocket

こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただきありがとうございます。
 

今回は、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
”「三流シェフ」の挑戦”
というテーマでお話しします。

 
それでは、早速どうぞ!
 
 

 
 
「三流シェフ」という本を読んだ。
 
四谷の若葉町にあった
「オテル・ド・ミクニ」のシェフ
三國清三さんが書かれた本です。

 
ミクニは昨年暮れに店を閉じました。

ミクニは1980年代、
日本のフレンチシーンをけん引した
レストランでした。
 

私は1993年、94年と二度ほど
家内と一緒に食べに行ったことがあります。

いまでも、初回時に食べた
イカ!!を使った料理のおいしさを
強烈に覚えています。

フレンチではありえない
イカの料理!!

反則技ですよね(笑)

 

その後、三國さんはニューヨークや
ヨーロッパの一流ホテルでの
シェフフェアを大成功させます。

さらにフランスからは
国家功労賞のオフィシエ章なども貰うほど。

まさに、フレンチの
世界的なシェフとして大成功をおさめます。

 
 
しかし、ミクニはミシュランガイドでは
一ツ星でさえありません。

 
日本のミシュランには
いまでも日本人に愛されている
フレンチの素晴らしいお店が
何店も掲載されていないことを
ご存知でしょうか。
 

京橋のシェ・イノ
三田のコートドール
有楽町のアピシウス

 
共通点は・・・
 
ミシュランには一度もいかなる形でも掲載されてない。
日本のフレンチの歴史をつくったお店であること。
素晴らしいシェフが居たこと、居ること。
スタイルを守っているお店であること。

 
個人的には
フランスより優秀なフレンチのお店が
掲載されすぎるとフランスの権威が
地に落ちてしまうので
意図的に掲載されていない、
としか思えません。
 
フランス人、気が小さいのか、悔しいのか、
偏屈なのか、差別意識なのか(笑)
 
その悔しさは三國さんも本で
書いてらっしゃいますが。

 
 
ま、それはさておき。
 
何より凄いな、と思ったのが
北海道の極貧の漁師の息子として生まれ
中卒で米屋の配達として働き出してから
スイス・ジュネーブの国連大使付の
料理長になるまでのステップです。
 
これ、何年かかったと思いますか?

なんと5年!!です。
 
15歳米屋、20歳でスイス・ジュネーブ大使付きです。
もう笑うしかありません。

詳細は本を読んでください。
小説のようにスゴイ道程に驚きを隠せません。

 
 

それ以上に感嘆したのが、
ミクニを閉じた理由です。

80席もあったレストランを閉じたのは
なんど跡地にたった8席のレストランを
3年後に開くため。

なんと70歳から、まだ挑戦する気なのです。

 
カウンターだけの店で、
ミクニさんと相談しながらその場で
料理を決めて作っていく。

最初の師匠である、
スイスの天才シェフ:ジラルデのやり方を
三国さんなりに再現していく挑戦なのでしょう。

この気骨、この情熱。

何と表現すればいいのでしょうか。
 

「三流シェフ」という本のタイトルは
卑下ではなく意地と挑戦の意味なのです。

 
「三流シェフ」三国清三(幻冬舎)
https://onl.sc/aSvxxHs

 
 

 
 
いかがでしたか。

世界を極めた三國シェフの料理は、
まだ体験することができる。
そう思うと私たちは幸運かもしれません。

70歳からの新たな挑戦で、
どんな世界を見せてくれるのか。
まずは、著書を読んで
圧倒的な情熱と気骨、
そして彼の美学に触れてみたいですね。

 
ではまた次回の更新もお楽しみに!