2023年7月15日

目に見えない「雪かき仕事」をする人の大切さ

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただきありがとうございます。
 
今回は、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
『目に見えない「雪かき仕事」をする人の大切さ』を
テーマにお話しします。

 
それでは、早速どうぞ!
 
 


 
 
プロジェクトの講義を受けていて
失敗したプロジェクトの原因に
意外であり、そして過去を振り返ると
そうだった!と思ったものがありました。

 

それは「ごく普通のメンバーが
たった一人抜けただけで、そのプロジェクトが
立ちいかなくなる」という話です。

そんなこと、あるの?

実はあるんです!
 
 

講義で聞いたのは・・・
 
あるプロジェクトマネージャーPさんが
新規のシステム開発プロジェクトに
ちょっと地味なQさんという方を
入れたそうなんです。

Qさんは地味な人です。

 
エンジニアとしての能力も
ごく平均的、フツーなんですね。

でも明るい性格で気が利いて
すぐにチームメンバーとも打ち解けます。

 
夜遅くまで働いても
朝はきちんと来る真面目な性格です。

いい人なんですね。

 
 

このQさん、Pさんが信頼する
ベテランのプロジェクトマネージャーRさん
からの推薦です。
 

Pさんは普通の能力なんだがなあ・・・
と思いながらもRさんの推薦だからと
働いてもらっていました。
 
 

プロジェクトには主要メンバーで
ものすごく能力が高く、生産性もずば抜けている
Xさんという方がいました。
 
Xさんは技術にも詳しい。

 
でも、Xさんは時間にルーズで
深夜まで働くと昼過ぎに出社したりする。

まあ出来る奴だからと他のメンバーも
意見しにくい雰囲気でした。
 
結局、朝開始の会議がXさんの遅れで
午後からの開催になったり。
 

その会議で急遽翌朝までやらなければ
ならない仕事が発覚したりして、
そのツケはQさんにも回り始めてしまいます。
 

家庭を犠牲にして、自分の仕事も過重になり、
結局Qさんは鬱を発症し、プロジェクトを
離脱してしまったんですね。
 
 

それで、どうなったか?
 
プロジェクトは
なんと空中分解の危機に
陥ってしまうんです。

チームの生産性もガタガタになってしまう。

え?なんで?Qさんが抜けただけで?
と思いますよね。

私もそう思いました。

 

実は、Qさんはエンジニアとしての
能力は普通でしたが、目に見えないし、
評価もされない「雪かき仕事」を
優秀かつたくさんやっている人だったんです。

 
 
「雪かき仕事」とは、
誰がやるかは明確ではないけれど、
誰かがやらなければならないような、
そんな仕事です。
 
メンバーのコミュニケーションを促したり
リラックスする雰囲気をつくったり。
 
プロジェクトで必要な情報をそれとなく
みんなに伝えたり、
あるいは新メンバーをケアするなど。
 
けっこう、この「雪かき仕事」
自分のことで思い出してみても
たくさんあるんですね。
 
Qさんは、これを
率先してやってくれていた。
 
 

優秀だけど、
ちょっとモラルに欠けるXさんの陰で
Qさんはチームを保つ
母親役のような存在だったわけです。
 
家族から母親がいなくなったら
けっこう大変だと想像できると思います。

ここまでのことは私自身経験していませんが
それに近いことは何度も体験しています。

 

リーダーやマネージャー役の人は
ふだんからメンバーの仕事以外の働きも
注意してみなければなりません。
 
そして、Xさんのモラルハザードは
チームにじわじわと悪い影響を及ぼすことを
頭に刻んでおく必要があります。

 
表に見えるものと、裏で動いているもの
両方を見なければ、見ていることにならない
ということですね。
 
 
プロジェクトを動かすとき
このエピソード、頭の隅に
入れておいてください。

 
 

 
いかがでしたか。

確かに、プロジェクトでは目に見えて成果を出す人や
優秀な人が注目されがちで配慮されがちです。
でも、その真逆ともいえる位置にいる
Qさんのような人も同じように欠くことのできない人だったんですね。
本当に意外ですよね。

何かが目立っていたら、
意図して目立たない方も意識してみる。
全体性を意識するには、
まずはここからなのかもしれません。

 
ではまた次回の更新もお楽しみに!