2023年2月25日

AIの20年後をちょっと考えてみた

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただきありがとうございます。

著しい成長を見せる昨今のAI技術を受け、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が
あらためて未来を考えてみます。

このコラムでもAIは最近よく取り上げるテーマですが、
今回は、別の角度で掘り下げて……
「AIの20年後をちょっと考えてみた」です。

 
それではどうぞ!

 

 

ジョン・スカリーという名前を
憶えていますでしょうか。
 
古株の広告業界の方なら
世界中で話題になった
マイケル・ジャクソンを大々的に
起用したペプシのCM。

あるいは街角で目隠しをして
コカ・コーラとペプシの味較べをさせる
キャンペーンを覚えているかもしれません。

彼は、これらのキャンペーンを
仕掛けた広告業界のやり手でした。

けっこう古株の広告業界人の私も、
この2つは強烈に記憶にあります・・・

 

もう一つは
「砂糖水を一生売るのか?」と言って
スティーブ・ジョブズに口説かれ、
のちにCEOになった人物として
多くの人に記憶されているはずです。

そして、のちにジョブズを追い出した
悪名高い人物としても。

 

ただ、ジョン・スカリーのAppleCEO時代の
功績として、私個人が凄いと思うものがあります。

それが1987年に彼の指示で創られた
1本のショートムービーです。

タイトルを「Knowledge Navigator」
(ナレッジナビゲーター)と言います。

有名なビデオなので視聴した方も
多いのではないかと思いますが。

 
 
この映像には
いま話題のChatGTPやDALL-Eなどの
ジェネレ―ティブ系AIと
自然言語による対話が高度に融合した
「コンピュータと人間の良き未来」が
描かれています。

自分のポッドキャストでも
昨年紹介しましたがぜひ一度ご覧ください。
        ↓

これはAppleという企業が
どこを目指すのかというビジョンを
見事に映像にしたものです。

どんな人が見ても向かうべき方向を
一瞬で理解することができます。

そして、スカリーの指示で作られた
このムービ―に、36年経った今、
ずいぶん近づいてはいます。

 
しかし、それでも音声のみで
私たちの指示とその意図をくみ取り
正確に情報を探し、カスタマイズし、
完全に秘書的な役割を果たすことは
出来ていません。

まだまだ、なのですが、
それでも2030年前後には
今の技術進化のスピードを考えると
到達するのではないでしょうか。

 

個人的にはコンピュータと人の関係は
「ドラえもんとのび太」に近づいていく
と考えています。

徹底的にその人の日々と人生を
サポートする存在です。

そして、人に愛される存在です。

 
しかし、ドラえもん的な
マン&マシンの関係は100年単位の
時間がかかるでしょう。

今凄いと言われるChatGPTでさえ、
基本的には情報を確率論的に処理して
答えを返しているのにすぎません。

人間と同じように判断・思考できる
汎用人工知能には少なくとも20年は
かかると言われています。

ただ、その時のAIは
私たちの重要な判断をサポートしてくれる
存在になっているはずです。

政治や地球規模の問題から
試合中のスポーツ戦術をどうするか
たぶん恋愛の行方まで左右するようになる
のではないかと思います。

 
 
しかし、事前に
考えなければならない課題があります。

例えば現ロシアの指導者のような
独裁者的な人間によるAI悪用をどう止めるのか。

戦争にAIが使われることをどうするのか。
つまり、ターミネーター的な悪夢をどう回避するか。

あるいは犯罪組織によるAIの活用を
どう出来なくさせるか。

 

アイザック・アシモフの
ロボット三原則が重要になります。
 
・人間に危害を加えてはならない
・人間の命令に従わなければならない
・自己を守らなければならない

 
テクノロジーには光と影がある。
光を大きくするほど影も大きくなる。

この矛盾と私たちは
付き合っていかなければなりません。

 

 

いかがでしたか。

AIが人類の良きパートナーとなれるように。
20年後の明るい未来のために、今をどう生きるかが大事ですね。
 
何に触れるのか、何を選択するのか、何を為すのか。
為政者も研究者もビジネスリーダーも市井の人々も、
すべての”今”の積み重ねが人類の未来をつくる。

ではまた次回の更新もお楽しみに!