2020年12月23日

「おもてなし」が「リーダーシップ」をダメにする!?

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日のコラムでは、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
「おもてなし」が「リーダーシップ」をダメにする!?ということで、
「多くの日本企業の経営者は、なぜドメインの見直しがなぜできないのか」
についてお伝えします。

それでは、早速。

 

 

あなたは、「決断する」って得意ですか?
それとも苦手ですか?

 

私は正直苦手です。

なるべく避けたい、できるなら避けたい(笑)

それでも、振り返ると自分の決断が
いまの自分の人生をつくってきたことは
よく理解できます。

20代で音楽に見切りをつけて
コピーライターになると決めたこと。

30代で生涯の伴侶を決めたこと。

40代で独立を決めたこと。

20代と40代の決断がなければ
こうしてたくさんの人にメルマガを送ることも
なかっただろうと思いますし、
30代の決断がなかったら、
いまの人生もずいぶん変わったものに
なったことは素直に理解できます。

 

以前、ソフトバンクの孫さんが
日経ビジネスに語っていたことがあります。

「日本企業の経営者は、従来の事業に固執する。
最大の問題点はドメインの見直しができないところだ」
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00045/052200001/

 

この記事の中で触れられているのは
ドイツのシーメンスが会社の顔だった
電力事業から撤退し、インフラや
工場向けデジタルソリューションの企業に
生まれ変わろうとしていることです。

過去、GE、IBM、フィリップスなどの企業が
主力事業の移行、改革に取り組んで成功を収めています。

日本企業であれば富士フイルムでしょうか。

 

では、多くの日本企業の経営者は
なぜドメインの見直しがなぜできないのか。

 

その最大の理由は「決断力」の欠如です。

これは「和をもって貴しとなす」という
調和型の社会、文化を育んできた
日本人の「和」のマイナス側面です。

「忖度する」
「慮る」は
「おもてなし」の土台です。

秀吉が信長の草履をふところに入れて
温めていたことが美談、出世譚として
残り続けていること自体が
そのことを表しています。

 

私たちが、意思決定が苦手、
つまり、決断が下手なのは
日本という社会的がつくりだしてしまう
特質だと考えた方が良いでしょう。

 

そして、それは2つの影を生み出します。

ひとつは責任の所在が
分かりにくくなることです。

決定責任者の不在です。

つまり問題が起こったときに
その決断の主体が分からなくなることが多い。

責任を取らないトップの姿は
さまざまなニュースや裁判で
見ることができます。

すると次に何が起こるかというと
決定のプロセスが不明確になっていく。

つまり「プロセス」がなく、
「決定責任者」がいないまま
「結論」だけが1人歩きするのです。

たぶん、たった今も無数の会社で
「決まったことだから」という
セリフが誰かの口から吐息とともに
つぶやかれていることでしょう(笑)

 

どうも私たちの社会は議論の末の
感情的な対立を回避するために
山本七平さんが言っていたように
なんとなく空気で物事が決めるクセがある。

この構造は
日本軍の組織論的研究と銘打たれた
名著「失敗の本質」で紐解かれたことから
変わることはありません。

この本の第三章に掲げられた
「日本軍と米軍の戦略・組織特性比較」の表は
いまの日本社会、文化、企業に通じています。

素晴らしく安定的で、平和で
暮らしやすい社会を私たちは生み出しましたが
一方で、それを生み出した私たちが持つ特質は
今の停滞の原因にもなっています。

そのことをしっかり理解するところからしか
本当の意味で、次の時代を創る作業は
始まらないかもしれません。

 

「決断」とはリーダーの仕事です。

 

決めるということは
それ以外の可能性を捨てるということだから
とても怖い。

こちらの”難しいものほど燃えちゃう”人々コラムで述べたように
私たち日本人は「不安要素」の強い国民でもあります。

つまり、超・怖がりなのですね。

 

先ほどあげた主力事業の移行、改革に取り組んで
成功を収めた企業に共通するのは
強力なリーダーシップです。

ちなみにリーダーシップとは・・・

混みあった電車から降りようとする
小さなお子さんを連れたお母さんがいるときに
「小さなお子さんが居るので入り口をあけてください」と
呼びかけることができること。

私は、そういう風に規定しています。

つまり、どんなときでも、
自ら声を上げて行動できる。

こういう人が増えてくると
この国も変わり始めるでしょう。

「決断できるリーダー」を育てることと、
「リーダーシップ」を子どもたちに身につけさせること。

この2つに取り組むことが
遠まわりかもしれないけれど
次の時代を創る最速の道だと考えます。

きょうは、テーマがテーマだから、
書き方が、ちょっと大上段に
なったかもしれません(笑)

おゆるしを!

 

 

いかがでしたか。
年末年始休業のお知らせでお伝えしましたとおり、
ディープビジョン研究所は、今週の12月24日(木)からお休みに入ります。

ブログの更新は、マイペースに続くと思いますので、
年末年始も引き続き楽しみにしていて下さいね!