2022年11月19日

経営理念でよく寄せられる質問

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上鳴風が、
「経営理念でよく寄せられる質問」についてお伝えします。

それでは、早速。

 

 

ミッションの話が出たついでに。

クライアントに、よく聞かれることに
以下のようなものがあります。

 

「経営理念とミッションはどう違うの?」

「社是とビジョンは何が違うの?」

「クレドと経営理念の関係は?」

「行動指針とバリューは同じこと?」

 

などなど、この手の質問の
バリエーションはいくつもあって
混乱しているのがよく分かります。

 

ひとつ、これは日本語の特性からの
混乱でもあります。

カタカナ表記という文字表記を持つ
日本語は外来語を取り入れやすい言語です。

明治初期はカタカナそのままでなく
いったん新しい日本語として、
その概念を表す新語がつくられていました。

Society:社会
Science:科学
Philosophy:哲学
Culture:文化
Civilization:文明
Love:恋愛

こうしておくと旧来の日本語に自然に馴染み、
競合して混乱するということも起きなかったのですが
ここ20~30年は日本語に変換されずに
そのまま使うことが非常に多くなりました。

これは以下のような理由もあります。

・基本的な用語はもう日本語に変換されている
・現在入って来る用語は専門的な用語が多い
・グローバル化の影響でそのまま使う方が便利
・シンプルでよく知られている単語であるがゆえ
誰もが意味を分かっていると思ってしまっている

 

経営理念的なことばとして使われる
ビジョン」「ミッション」
「バリュー」「パーパス」などは
そのまま使う、の典型です。

そして、単純なことばであるがゆえに
個々人が自分のあいまいな捉え方で使って
共通の明確な定義を持っていません。

これに気づいていれば良い方です。

普通はこうした混乱が裏側に隠れていると
気づかずに使っているのが現状です。

 

それぞれ日本語に
分かりやすく直せば・・・

ビジョン:目指すべき未来像
ミッション:果たすべき使命
バリュー:大切にする価値観
パーパス:わが社の存在意義

・・・になります。

英単語の意味そのままではなく
日本のビジネス文脈で分かりやすく定義すれば
経営理念との齟齬や混乱は
あまり生じません。

 

つまり、冒頭の質問は
日本語化していないビジネス英単語を
人口に膾炙している、というだけで
そのまま定義せずに使用するところから
生じるものなのです。

 

解決策は日本語(社是、社訓等)も含め、
すべての理念系の単語を、ビジョン等の英語も含め、
自社の用語として「定義」してみることです。

そのときに、あまり特殊な意味をもたせないこと。

知らない人でも分かるように定義しておくと、
のちのちの混乱を避けることができます。

そうすれば、ムダな理念を増やさずに済みます。
理念をシンプルな体系で使うことができます。

ルールは少なければ少ないほど良い。
それは経営理念もいっしょです。

ときに自社の膨大な理念体系を
見せてくれる経営者の方が居ますが
ご本人でさえ空で言えないものを
社員が使いこなせるはずもありません。

 

理念のことばは定義を明確に。

そして、経営理念は
自社の本質を深くとらえたものが
最低必要限あれば良いのです。

「使われてこそ」の理念です。

 

 

いかがですか。

ぜひ、貴社の、あなたのブランド戦略に
お役立て下さい。

引き続き、今週の「江上鳴風のビジネス戦略塾」も
メッセージに引き続きお聴きください。

 

 

人はことばに依って立っています。

人からことばを取り去ってしまうと
人間という概念は無くなります。

ことばは意味をともなうものだから
私たちは意味の森に生きているとも言えます。

そして、この意味の森を
出てしまうことはできません。

それは私たちが
「意味を食べて生きる動物」
だからです。

 

企業の上辺に
理念やビジョンなどの
ことばが掲げられるのは
故なきことではないのです。

 

そして、ことばはもう一つ
感情を伴います。

感情とはエネルギーです。

ことばは感情を動かす
エンジンとしても
機能するということです。

 

私たちのエネルギーを
引きだすのは圧倒的にことばです。

だから、些細なニュアンス、
含みこまれている意味、音の響き、
ことばの重なりが生む力を信じて
自分たちのミッションや理念を考える。

良いミッションは感染します。
一次、二次、三次感染・・・。

コロナと違って、この感染は
幸福な感染です。

素晴らしいミッションを創る時の
スタンスを話しています。

 

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    ~ 江上鳴風のビジネス戦略塾 ~
     第269回 ミッションを考える
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*江上鳴風(えがみなりかぜ)とは、
江上隆夫の筆名、雅号のひとつです。

 

次回の更新もお楽しみに!