2021年4月12日

デザイン思考の欠点

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
「デザイン思考の欠点」についてお伝えします。

前回のコラム、ロボットと妄想力の続きでもありますので、
合わせてお読みいただけるとより理解が深まる思います。

それでは、早速。

 

 

前回のコラムから続きます。

「デザイン思考を取り入れよう」
と言われ出して久しいですよね。

「デザイン思考」は
問題解決思考とも言い換えられますが
そう単純なものではありません。

なぜなら、
問題を解決することは
従来の「カイゼン的思考」でも
行われてきたからです。

 

でも、現代は
おおよその問題は解決されており、
残っているのは巨大な解決しがたい
問題ばかりです。

つまり、デザイン思考の
問題解決とは、まず
「問いを立てる」ことから始まります。

現実のいろいろな事象を
「なぜ?」と本質的に問うことが
デザイン思考の中心にあります。

1)ものごとの本質を問い直し、再定義する。

2)その再定義から、イノベーティブなアイデアを
生み出し、現実に定着する。

この2つのSTEPが
本来のデザイン思考です。

 

ただ、デザイン思考にも
欠点があります。

 

ひとつは、
ある程度の経験を経ないと
「本質を問い直す」
「アイデアを生み出す」ことが
できないことです。

いろいろな企業の中で
ワークショップを行っていると、
こういう思考法を身に着けている方
あるいは仕事で行っている方が
少ないことに気づきます。

日常的にそういう思考法を使う
訓練、経験が必要なんですね。

 

もうひとつのデザイン思考の欠点は、
より本質的です。

それは、問題解決
という枠組みの限界です。

つまり、デザイン思考の始まりは
私たちの「外の問題」にある、
ということです。

なぜ、これが限界かというと
外から持ってくるということは
理性的な作業であり、
自分の「内なる欲求・欲望」からではありません。

つまり、動機が弱いものになるのです。

動機が弱いとは
エネルギーが弱いと
言い換えることができます。

 

何が何でも
私はこれがしたいんだ!

たとえば火星に住みたい!

人類を救う食品をつくる!

1000kmを30分で移動できる機械!

 

そんな考えはあり得ない
というような妄想系の
とんでもない想像や設定をすることは
デザイン思考はあまり向かない。

できないわけでもないけど
得意ではない。

 

ただ、本当に
イノベーティブなものは
この妄想系から生まれます。

個人の欲望から、と言ってもいいでしょう。

 

蒸気機関、電話、映画、
相対性理論、量子力学、
デュシャンの泉、
インスタントラーメン、
ウォークマン、Iphone、、、。

いまの時代で言えば
「イーロン・マスク」的なもの
と言い換えてもいいかもしれません。

もし、あなたがデザイン思考を
身に着け、さらにそれを発展させたいなら。

「本質を問う」くせをつけること。

そして「自分の内側からあふれ出る
妄想を止めない」こと。

この二つを忘れないでください。

 

 

いかがですか。

ぜひ、貴社の、あなたのブランディング戦略に
お役立て下さい。

引き続き、第185回のヒマラヤFMも
メッセージに引き続きお聴きください。

 

 

ブランドには
スピードがある、という話をしました。

第185回のヒマラヤFMでは、ブランドには
声、ボイスがある、という話をします。

ここで言う
「ブランドのボイス」は
実際の声を指すわけではありません。

どちらかというと
作家の「文体」に近い概念です。

ブランドは、
コミュニケーションの文体を
持たなければならない。

なぜなら、ブランドは、
このボイスの積み重ねで出来ているからです。

私たちの記憶の中の
トーンや手触りを決めるのは
この「ブランドのボイス」です。

第185回のヒマラヤFMは以下から、どうぞ。

第185回ブランディングの作法-その13 ブランドのボイスを持つ
https://www.himalaya.com/ja/player-embed/99846/134222438

 

 

次回の更新もお楽しみに!