2020年12月16日
幻想の経済を脱する
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
駅前の立ち食いソバ、不漁続きさんま、
昭和40年代の国産松茸などを思いながら、
「幻想の経済を脱する」についてお伝えします。
それでは、早速。
★
私たちの中には「モノ」に対して、
「ありうべき価格イメージ」があります。
たとえば、駅前の
立ち食いソバはせいぜい500円。
800円を超えると高い!と感じます。
しかし、これが老舗の緊張感漂う
そばのお店であればザル1枚で800円なら、
けっこう安いね!となるわけで。
たとえ原材料費もいっしょ
味もほぼいっしょのものを出しても
立ち食いは高いと感じ、
老舗は安いと感じるのです。
この前、お寿司屋さんで、そこの親方が
「高級魚のさんまの焼き物です!」
と笑いならが出してくれたことがありました。
これだけ不漁続きだと、そうも言いたくなるし、
値段も高騰します。
国産松茸は昭和40年代は、
せいぜい1kgで2000円しませんでした。
いま1kgの国産松茸を調べると
130,000円なんて言う数字が出てきます。
100g 1万円平均です。
味が何十倍も旨くなっているのかというと、
たぶん、まったく変わらないか、
逆に少し落ちているくらいではないか。
希少だから価値があがる。
高価格になる。
でも中身は変わりません。
まったく変わっていない。
価格は実質を反映するのではなく、
私たちの思い込みやイメージや
欲望のあり様を反映します。
つまり、価格は、幻想です。
とすると価値も、
幻想ということになります。
基本的には。
そう考えていくと、
この世で本当に価値を持つものは
私たちの生存に関わることにしかない、
ということが分かります。
水、空気、大地。
そこから生み出される
基本的な衣食住に関わるもの。
たぶん日本で言えば
縄文の暮らし以上のものは
幻想に属するもの、と言っていいでしょう。
ということは
私たちは歴史上、営々と
幻想の領域に属するものを
無限とも言えるほど
生み出してきたのです。
経済とは「経世済民」です。
世を治(経)め、民を救(済)うことです。
経済が本来の意味から離れて
あるいは本来の意味を消化してしまって、
幻想の経済に移行したとも言えます。
つまり、意味を消費する経済へと
移行してしまった。
40年ほど前から言われていることですが。
いまの資本主義経済は
「経済のための経済」です。
経済のための経済だから、
人も、地球も、どうでもいい、と言えます。
つまり、最初っから、
その性質の中に経済以外のものを
阻害していく性質が組み込まれている。
だから、地球環境問題や
人間の疎外が問題になるのだと思います。
この幻想の経済を、
どう「実の経済」へと変えていくのか。
それは、どういう仕組み、姿をしているのか。
この追求がコロナ禍が終わったときの
私たち人類の大きなテーマになります。
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いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!