2020年8月24日

ブランドの研究〜変態日本論 最終章

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日のコラムでは、ブランド戦略コンサルタントの江上が綴る
日本のブランド研究の最終章をお届けします。

まだお読みいただけていない方は、
こちらのコラムも合わせてお読み下さい。

■ 「日本」というブランドの研究

■ 日本が世界一のブランド国である理由とは

■ 日本のブランド力の起源

 

それでは、いよいよ最終章をお届けします。

 

 

 

国のブランドとして世界1位の
日本がなぜできたのか?

Future Brand Country Index
https://1ovely.com/country-index/#2019_Future_Brand_Country_Index

 

「ホンモノ」は外からやってくる。
そして、私たちは
この素晴らしい「ホンモノ」を
我がものにしたい、

「ホンモノ」に追いつきたいと恋焦がれる
「ホンモノ変態」。

日本人のこの性質の大きな欠点は
「私たちはホンモノではない」
というところを出発点にしている、
ということです。

つまり、私たちは、ホンモノを生み出し得ない。
私たちは、ニセモノだ。
私たちは、オリジンではない。
と自覚しているんですね、
私たちは、どこかで。

 

日本人の、
この、ある種の病態は
外来のものとして入ってくる
文物に対する「構え」です。

このことが事実かどうか
ちょっと考えてみましょうか。

で、考えてみると
本当の意味でのオリジンを
生み出したのは、、、、

メソポタミア文明
エジプト文明
インダス文明
黄河文明

の4つしかありません。

中でも、文字を生みだせたのは
メソポタミア文明、黄河文明の2つです。

メソポタミア文明は
ちょうどいまのイラクあたりで
紀元前3500年ごろに、
その地域を流れるティグリス川と
ユーフラテス川の狭間で始まった文明です。

ここでは農業が盛んに行われたために
その管理や交易の記録として
楔形文字(くさびがたもじ)が
生まれたといいます。

そして、この文明の500年後に
エジプト王国が誕生します。

ここで使われたのが
ヒエログリフという象形文字です。

神やファラオの偉大さを印すために
文字は生まれています。

そして、この象形文字が起源となり、
フェニキア文字が生まれ、
(いまのレバノン、イスラエルあたり)
ギリシア文字へと発展し、
そしてアルファベットが生まれます。

 

表音文字の誕生です。

 

黄河文明は、
紀元前15世紀ごろに漢字を生みます。

これには諸説ありますが
大王を権威づけるために、
神との交感のために
生まれたという説が有力です。

漢字研究の世界的権威、
故・白川静先生によると
各地の諸王の中から生まれた大王の
必要に生まれたのが漢字。

神との対話(占いなど)を
記録するために数千文字が、あるときに
一挙に姿を現しているそうです。

ラテン・ギリシャ語系とまったく違う
表語文字(言語体系)の誕生です。

西洋と東洋の、
ふたつの大きな流れは
こうして姿を現します。

文字を創造したこと。

文化・文明で
オリジナルを主張できる、
とはこのことに尽きます。

東洋の思想が
孔子の論語の注釈史であり、
西洋の思想が
ギリシャのソクラテスの注釈史である。

そういうことばがあります。

要は、私たちが受け取る
本当の意味でのオリジンはその2つしかない、
と言っているのです。

極端に言えば、
オリジンを問うこと自体が
愚かなことかもしれないのです。

 

すべての新しいアイデアは、
 先行のする2つのアイデアの掛け合わせか、
 先行するアイデアへの足し算、
 先行するアイデアからの引き算、
の3つしかありません。

完全に新しいアイデア、
隔絶して新しいアイデアは、
その「隔絶して新しい」がゆえに
アイデアとしてさえ認知されません。

後代になって、死んで随分たったあと
評価される芸術家(たとえばゴッホ)は
そのオリジナリティが過ぎたがゆえに
生前は評価されなかったです。

 

ということは
私たちが使う「ホンモノ」とは
起源的なものを指すのではありません。

それは、ただ
「外から来た、ちょっと新しいもの」を
指すだけなのです。

そして、それは原理的には、
地球上のどの地域も同じだということです。

私たちは誰もが
「ホンモノ」とは主張できない。
(原理的にはネ)

オリジンを問わなければ
というより原理的には問えない。

だから、もう、日本人は
言ってしまえばいいのです。

私が創り出した
これが、もう「ホンモノ」だ、と。

私が熱狂している
こいつが、もう「ホンモノ」だ、と。

私たちは、中華文明の辺縁から
「ホンモノ変態」として
海の向こうのものを
吸収・消化・進化・発展させてきました。

見つけた何かにアイデアを加えて
磨く力はダントツの世界TOPクラス。

日本のブランド力が世界1位ということは
もう、そうした力が頭抜けて
輝いていることを意味します。

だから、いま、
あなたが創り出しているもの。

日本人が手掛けているものが
「ホンモノ」なんだと。

アニメ
漫画
ファッション
絵画

工芸
建築

自信をもって言ってください。
これこそが「ホンモノ」だ、と。

 

磨かれ具合において。
精度において。
オリジナリティにおいて。

2020年代、日本の文化から
世界の文化へと飛躍するものが
出てきます。

まだ姿は見えませんが
ものすごく楽しみ。楽しみでなりません。

 

 

いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!