2020年8月27日

ボス組織はどうやってダメになっていくのか

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

ブランド戦略コンサルタントの江上は、
「組織は生き物です」といいます。

今日のコラムは、前回の
「リーダーとボスの大きな違いについて」の続きです。

それでは、早速。

 

 

こちらのコラムで少し触れましたが
きょうはリーダーの組織と
ボスの組織の違いを
述べてみたいと思います。

 

私がサラリーマン生活をおくっていた
広告代理店は、当時、売り上げが
3500億円という規模でした。

大きいと感じるかもしれませんが
上に電通と博報堂という巨大なライバルがいて、
さまざまな面で企業的な力量の無さを
日々感じていました。

 

簡単な話、たとえば
トヨタの新車キャンペーンなど
ナショナルフラッグ的なコンペには
上位2社のみしか呼んでもらえないのです。

広告予算を何百億と持っている
有名クライアントはほぼそうです。

 

私の当時の上司は
その2強体制にクリエイティブで
割って入ろうという
強い意志を持った人間でした。

そして、それに沿って
組織を大改革し、若手をどんどんと
抜擢していきました。

そして、積極的に
コンペを取りに行ったのです。

 

半年後、
その成果が表れてきました。

大型のコンペに勝つことが
多くなってきたのです。

それと相前後して、
彼のご機嫌を取る風潮が
現れてきました。

といっても、これは
彼のそばに居た私自身が感じた
あくまで主観的な印象です。

 

私は、その時、230名ほどの
クリエイティブ部署の
いわば経営企画及び総務&人事的な
役割の部署のリーダーを務めていました。

クリエイティブの現場で
クリエイティブ・ディレクターとして
働いていたのですが
ある日、突然移動の辞令が出たのです。

 

クライアントの猛反対を
押し切っての人事でした。

 

彼は、何年もの間、
私の直属の上司でした。

取締役となり、離れていたところを
再度呼び戻されてしまったのです。

社内の改革が上手く行き始めると
TOPは、まるで創業者のような
雰囲気を帯びはじめます。

そして、まわりもそう扱い始めます。

ある程度、気がつくTOPであれば
客観的に見ることも可能でしょう。

これには謙虚さと冷静さが
多大に要求されます。

 

私の上司は非常にクレバーな人では
ありましたが、この種の謙虚さと冷静さは
持ち合わせていませんでした。

そうすると本人も気づかないうちに
組織全体に別の意味での停滞が生まれます。

一人の気分が、
組織の全体の雰囲気を
左右するのです。

いわゆる典型的な
ボス組織になっていくのです。

 

組織は生き物です。

 

適切に水をやり、光をあて、
風を通しているとイキイキと
動き始めます。

ボスの気分で動く組織は
みんなの意識が外に向かわずに
内に、内に向かいます。

ボスの在り様ばかりに意識が行く
ダメな組織へと変質を始めます。

 

彼の締め付けで
そこそこの成績は上げ、
表面上の活気はあるものの
中は次第に元気を失っていきました。

ボスの組織とは
権力が固定化する組織です。

ボスの承認がなければ
何も動かない。

というより動けない。

もっともクリエイティブから
遠い組織になるのです。

 

彼が辞めたあとの、
そのクリエイティブ部門の
力の落ち方は酷いものでした。

ある種の「強いてきた」反動です。
リーダーは導き、ボスは強いる。

私のサラリーマン生活の最後の2年は
そのことをまざまざと表しています。

 

もう一度、
セオドア・ルーズベルトの言葉を
掲げましょう。

 

People ask
the difference between a leader and a boss…
The leader works in the open,
and the boss in covert.
The leader leads,
and the boss drives.

 

リーダーとボスの違いは
何かと問われれば、

リーダーの仕事は開かれているが、
ボスの仕事は隠されている。

リーダーは導くが、
ボスは強いる。

 

 

いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!