2020年11月13日
「時代なんか、パッと変わる」のか?
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
今の私たちの生活には欠かせないスマートフォンを
とりあげ、あなたのビジネスのヒントをお伝えします。
それでは、早速。
★
「時代なんか、パッと変わる」という
サントリーのウィスキーのCMっていつ頃放映されたんだろう?
と思って調べると1984年ですね。
ずいぶん前だ。
コピーは秋山晶(あきやましょう)さん。
広告業界では巨匠中の巨匠です。
これまた古い話しだが
「男は黙ってサッポロビール」のコピーを書いた人。
ウィスキーのCMは、
当時の日本の勢いを象徴するように
俳優のマット・ディロンと猫サイズのピンクの像が
共演するものだったと思う。
「時代なんか、パッと変わる」という
キャッチフレーズ。
思うのは、このコピーは1984年当時より、
たぶん今の方が100倍くらい馴染むんじゃないか。
パッと変わり過ぎるくらい変わる、時代は。
たとえば・・・
iphoneの初代がデビューしたのが2007年。
わずか13年前。
たった13年前なんです。
たぶんいまの中高生あたりがスマホネイティブ。
スマホのない世界が分からない世代。
電車の中で乗客の8割くらいが
スマホを覗き込んでいるのを見ると
いかにこの小さな四角い板が人間の生活を変えたのか、
2018年3月にニールセンデジタルが発表した
日本国内のスマホ利用状況調査だと、
1日あたりのスマホ利用時間は平均で3時間7分。前年より16分増加。
アプリは1日あたり2時間41分(前年比17分増)利用、
ブラウザは29分(同1分減)利用。
アプリの利用が昨年同様に全体の85%を占めた。
使用実感でいうと一人の人が接触する情報の約半分は
スマホから得ているのではと思う。
いま、パソコン、固定電話、スマホの普及率は
72~3%台でほとんど並んでいるが
スマホの所有率は若い世代ほど圧倒的で
総務省の調査だと2016年に20代では94.2%に達している。
もちろん、10代20代ではテレビの視聴時間と
スマホの接触時間を比べるとほぼスマホが1.3倍に達する。
世界中の人間からスマホを取り上げたら
どれほど世界が混乱するか。(笑)
冗談ではなく何らかの混乱の末に
たぶんスマホを間接的な理由にした、
殺人事件が起こるだろう。あちこちで。
自分のことを考えても、
無くしたらもっとも困るのは財布ではなく
スマホだ。
これは他者とつながって生きることを
前提として種を成り立たせている人間という生物の
コミュニケーションのスピード、タイミング、広がり、深度などの感覚を、
スマホが大きく変えてしまったことによると思う。
人間の情報の、入出力の目盛が2ケタほど上がった。
2010年時の全世界の情報流通量が1ZB(ゼタバイト=1兆GB)が
2020年時には40ZBに。単純に40倍だ。
この13年の変化は良くも悪くもスゴイものだが、
本当の「パッと変わる変化」これからなのだと思う。
日本でテレビ放送がスタートしたのが1953年。
11年目は1964年のオリンピックの年。
前年にはケネディの暗殺があり、テレビの宇宙中継が始まった。
カラーテレビは1960年に発売されたけど
大卒初任給が1万3千円前後のときに
たった21インチで52万円。
いまの価格に換算すると840万円のテレビ。
どこにビルの壁面につけるんだ・・という価格になる。
なんども言うが、スマホは、まだ生まれて13年だ。
つまり、今年のスマホは、テレビで考えれば
カラーテレビがポツリポツリと売れだした頃に当たる。
それは、テレビが「娯楽の王様」、
「メディアの王様」として君臨し始める頃。
映画と、ラジオを古いメディアに追いやった頃。
スマホがいまじわじわとテレビを
追い詰めているようなことを
新興メディアのテレビは半世紀前にやっていた。
そして、テレビの歴史で言う・・・
デジタル化もBSもCSも、
ワンセグも、3Dも、4Kも8Kも、
そういったものに当たる変化は、
たぶんスマホでは、まだ何も始まっていない。
ということは、
コミュニケーション上の大変化は、
テクノロジーも、私たちの感覚も含め、
実に、これからなのだ。
私たちは大きな変化の只中に居ると考えがちだけど。
実は、これから。それを再確認しよう。
さて。明日のことを考えるとき、
未来ではなく、過去をさかのぼると
大きなヒントが得られることが多い。
ビジネスにも応用できます。
★
いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!