2020年10月15日
リーダーシップの2つのカタチ
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
10月は年に1度の健康診断月間。
その中でも結果が心配だったのは、眼科です。
皆さんは、いかがでしょうか。
以前からパソコンやスマホ、タブレットと仕事で目を使います。
プライベートでも映画やドラマを見たりと目を使ってしまいます。
それに加えて、今年はコロナ禍。
打ち合わせや仕事、交流もリアルからオンラインに変わったため、
さらに目を酷使してしまいます。
結果は問題がなかったのですが、
「1時間に10分間は目を休めましょう」
とは言われてもなかなか実践出来ませんね。
江上もたぶん、、、、(苦笑)
さて、今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
前回のコラム権力の取り扱い説明書に引き続き
リーダーシップについてお伝えします。
それでは、早速。
★
リーダーシップには
大雑把にいって2つの型があります。
ひとつは「昭和のおやじ型」(笑)
俺に付いてこい!と
ぐいぐい引っ張っていく
いわゆる典型的な「リーダー」の
リーダーシップ。
俺がルールブックだ、のタイプ。
長くいすぎると、
日本の会社だと〇〇天皇と
呼ばれたりするタイプです。
創業社長に多い。
もしくは中興の祖と言われる人。
私も長くクリエイティブ・ディレクターを
やってきましたが時々こうした“創業社長的”な
「絶対王政」タイプのリーダーに
たくさん会ってきました。
絶対王政の良いところは
即断即決、とにかくトップに聞けば
明解であり、何事も良し悪しは別に
スピーディに進むことです。
とにかく明解!
そして、とにかく早い!
悪いところはいろいろありますが
何しろ絶対王政です。
その組織の中では、
リーダーの意向に従わなければ
すべてが無駄であり、悪になります。
いわば人治主義です。
トップの資質や判断が、
その組織や集団の死命を握ります。
人間的に素晴らしく、
能力的にも圧倒的に秀でた人物が
そのすべてがピークのときに
リーダーを務めるなら
こうしたリーダーシップは最高かもしれません。
時々、現れますよね、こういうリーダー。
たぶん、いまあなたの頭に二人や三人、
浮かんでいるはずです。
もうひとつのリーダーシップは
「町会の役員型」。
つまり、調整型、マネジメント型の
リーダーシップです。
決められた方針に従い、
粛々と物事を進めていく。
まわりの状況をよく見て、
まわりの人の様子をよく見て、
そして、物事が滞らないように
チューニングしながら進める。
落語であれば
横丁のご隠居か、棟梁がやっている
リーダーシップです。
このリーダーシップの良いところは
絶対王政でない分、個々の判断が許される
ということです。
あうんの呼吸で物事が決まっていたり、
何にもしていないように見えて
どんどん物事が進んでいたり。
一種のオートマティズムです。
自動現象です。
要は日本人が得意な「空気」を醸成して、
何となくそっちへ動いていく。
そういうリーダーシップ。
これは、リーダーがいるように見えるけど
実際は、いないという不思議なリーダーシップ。
ん、リーダーシップとは
言えないかもしれません。。。。
でも、この国では比較的よく見る
リーダーシップの型です。
当然、どちらにも欠点があります。
「絶対王政」のリーダーシップは
往々にして間違うということです。
どれほど優秀な人間が
リーダーを務めようが、です。
たぶん間違うことの方が
多いのではないでしょうか。
というか、ほとんど間違う?(笑)
それは多くの社会主義国、共産主義国の
歴史や現状を見れば理解できます。
たとえば、お隣りの国のリーダー金正恩。
属人的な独裁国家がどのように大変かは、
ニュースの断片からでも、すぐに読み取れますよね。
過去、こうした間違いから
逃れられたリーダーは数少ないと思われますが
知っているところで言うと
唐朝の第2代皇帝「太宗(たいそう)」でしょうか。
中国史上、有数の名君として知られますが
太宗がスゴイのは耳に痛いことを言ってくれる
部下を大事にし、彼らの諫言によく耳を貸したことです。
まず、民衆を第一に思い、
さらに国を平和に収めるには
どうしたらいいか、と毎日に知恵を絞る中で、、、
「王様、これではダメです!」
「王様、こういうことをしてはいけません!」
という言葉に耳を傾けて、それを実践した。
これは部下も偉いし、太宗も偉い。
彼らの言行録は
「貞観政要(じょうがんせいよう)」として
帝王学の教科書として伝わっています。
原文を読めるものはちょっと高いですが、
Amazonでも手に入れて読むことができます。
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質の高い人治主義も有り得るんですね。
けれど、そのためには
絶対的な性善説に立たなければならない。
人間って、そんなに酷いことはしない、
という性善説に。
でも、この性善説が間違っていることは
世界史を見れれば分かります。
性善説で最悪の結果を招いてしまった例なんか、
スターリンではなくとも、
ごろごろ、ごろごろ転がっています。
たとえば、少し前のカンボジア。
クメール・ルージュを率いたポル・ポトは
1975年あたりから原始共産制を目標に
時代に逆行するような革命を実行しました。
反知性主義を掲げて、
ほとんどのインテリ層、
ありとあらゆる分野のリーダー層、
そして、老人や病人の弱者に対しても
容赦なく大量虐殺を繰り返しています。
その数は200万人とも300万人とも
言われています。
では、反知性主義で原始共産制を理想とした
ポル・ポトは、じゃあ、そういう人間かというと
ぜんぜん正反対。
フランス・パリの最高峰の学校でもある
グランゼコールのひとつに2年間留学した
超エリートでもあるんですね。
「人の質」ではたぶん優秀に入る部類なのです。
でも、そういう人間が権力を掌握したとたん、
現代の人類史でも稀に見る大量虐殺をやってしまう。
これが「人治主義」「絶対王政」タイプの
リーダーシップの怖さであり、
制度的な巨大な欠陥なのです。
じゃあ「横丁のご隠居型」リーダーシップ?
これも、まずいところがいっぱいあります。
★
いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!