2020年11月11日
そう言うことが起こるのがブランディング
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
街にクリスマスのイルミネーションが目立つようになりましたね!
あなたのオフィスもクリスマス飾りを行うのでしょうか。
さて、今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
「マーケティングとブランディング」についてお伝えします。
それでは、早速。
★
数字に一喜一憂するな。
というのはマーケティングでは禁句。
数字に一喜一憂してほしい。
数字に一喜一憂がマーケティングの本質。
マーケティングは数字だけで判断する。
数字が良い方を選ぶ、良い方が善。
ネット時代になり、誰でも気軽にビジネスができ、
きちんと稼げるようになったのは、
数字を誰でもトラッキングできるようになったから。
クリック数、コンタクト数や
コンバージョン率のような単純なものから
ライフサイクルファネルでの各段階の数値。
コンテンツやセグメントごとのコンバージョン数などから
自社サイトの何に顧客が反応しているかなどの
コンテンツの方向性を探ることもたやすい。
トラッキングした数値を前提に
A,Bテストを繰り返していけば、
必ずマーケティングの「イケル方程式」を見つけ出せる。
こうしてネット時代は無数のビジネスが
WEB空間内で展開される時代になった。
すべてのビジネスが「通販化した時代」とも言える。
自分自身は10数年前に起業したときに、
これからは通販スキルを磨いた者が勝つと思い、
そうしたものを意識的に取り込んできた。
なぜなら、通販はネット登場以前から
数字を前提にABテストを繰り返して業績向上を目指していたから。
ネット以前のふつうのマーケティングは、
指標化がかなり遅れていた。
たとえば広告業界はマス広告主体で、
テレビ、新聞、雑誌や交通広告などの過去データを積み上げ、
その推測値を予測値として使い、実際の反応は
売上で見るしかなかった。
当時は販売時点での反応はPOSデータくらいしか、
リアルタイムで計測できるものはなく、
トラッキングも事前事後の聞き取りやアンケートや
店頭での商品の動きやユーザの反応は人づてで取るしかなかった。
そうした意味で、本当に進歩したものだと思う。
今後はAIによるマーケティングの予測と自動化が
当たり前のように導入されていくようになる。
個人でもふつうに使うようになるだろう。
では、ここに商品Aがあったとして、
徹底的に数値化したマーケティングを行い、
その成功の方程式で固めたときに、
ブランドとしても最高のものになるのか?
・・・という問いを立てます。
すると答えは2つに別れてしまうのが
ブランドの難しさだ。
ひとつの答えは、
マーケティングの成功の方程式が
ブランディングでも成功の方程式の場合。
これは、言うことはない。
文句なし。ベスト。
売上を上げ、ブランドとしても存在感を示す。
調査したら最高の好感度、狙った通りの素晴らしいイメージ。
この道をゆければ良い。最高。
もうひとつは、
数値を追いかけてつくった
マーケティングの成功の方程式が
ブランディングの成功を抑制するか、減衰させ、
最悪の場合は・・・ブランドを殺すように働く場合だ。
売上利益は上がって、ブランドは毀損する。
これは・・・
たとえば、ファッションブランドで良く見るケース。
実は一番危険で、かなりアリがちなのだ。
凋落していくブランドは基本的に
ブランドのラインを拡張している。
簡単に言うと、たくさんの商品をつくり、
販売をテコ入れし、ライセンスを供与し、ダメになっていく。
たとえば、ファッションブランドだと
ロゴの入ったハンカチを見かけるようになると危険信号。
頭に浮かびませんか?そんなブランドが。
昔のピエール・カルダンなんて、その事例。
で、最終的にブランドは瓦解する。
あとにはブランドの残滓が残り、
漂っているだけ。
これは絶対に避けなければならない。
売上利益も絶対に必要。
しかし、ブランドは殺してはならない。
さあ、どうする?
実は、3つめの道筋もある。
ブランディング的には着実もしくは可もなく不可もなく。
ただ、マーケティングの成功の方程式が
見つからずにいるパターン。
じり貧。
悪く行けばつぶれる。
老舗が陥ることが多いパターンだ。
枠から絶対にはみでない。
ただ、それでいい場合もある。
東京・銀座の「空也のもなか」などは
その良い例だろう。
何も変えないし、何も変わらない。
百年、一日。
顧客がそれを支持している場合。
しかし、凋落していく例も多い。
何も挑戦しない、何も変えずに
時代が変わって見捨てられる。
逆に挑戦しすぎて自分たちの本筋を
見失ってダメになる場合もある。
私の頭には酒や醤油などの醸造元や
地方の老舗デパートなどが思い浮かぶ。
マーケティングとブランディング。
要はバランスなのだ。
目指すは最初のマーケティングも成功して
ブランドとしても確立する。
ただし、ブランドは・・・
売れて死ぬこともあれば、
売れずに死ぬこともある。
チャレンジしてダメになることもあれば
チャレンジして甦ることもある。
これをやればよいという答えは無い。
と頭のスミにメモしておくこと。
AIの導入はブランディングでは、
もう少し先になるんじゃないかと思う。
ただ、以下のことだけを
問いかけてください。
「あなたのブランドが
顧客に提供している本質的価値は何?」
「その価値は、どうあれば、時代を超えて
顧客に喜びを与えられる?」
そして・・・
出た答え、つまり「価値」を
毀損するマーケティングは行わない。
時代を超えて「価値」を活かすために
変化とチャレンジを厭わない。
この2つを心がける。
★
いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!