2024年6月29日
江戸前寿司の華の華「シンコ」の季節に思うこと
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今回はブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が
“江戸前寿司の華の華「シンコ」の季節に思うこと”
というテーマでお話しします。
それでは早速どうぞ!
★
コハダの「新子(シンコ)」の
季節がやってきました。
新子とはコハダの幼魚のことです。
江戸前寿司の華はコハダで、
新子はそのまた華の華になります!
コハダは、
ニシン目ニシン科コノシロ属の魚。
コハダは出世魚で、
8~10cmくらいが「コハダ」
11~15cmくらいまでが「ナカズミ」
16cm以上を「コノシロ」と呼びます。
お塩をふって水気を抜き、
酢で〆たコハダは、私の大好物のひとつです。
不思議なことにコハダは刺身とか
煮魚とかでは食べません。
ぎんぽを天ぷらでしか食べないように
酢締めでしか美味しさが引き出せないんでしょうね。
このコハダ、孵化して
5~8cmくらいまで育った幼魚を「新子」
と呼びます。
この新子が食べられるのは6月下旬から7月までの
ほんとに、ほんとに短い間だけ。
新子は小さいだけに食べられるようにするには
手間もすごくかかります。
コハダとは塩加減から酢で〆る時間まで
状態を見極めて繊細な仕込みをしないといけないのです。
食べるときは本当に小さいと
一貫のお寿司に7、8枚付けで握るそうです。
要は7、8匹分のコハダの稚魚を
一貫で食べる贅沢な食べ方です。
私は、さすがに
これは食べたことがありません。
多いのは2~4枚付けかなあ。
大きく育っていくに従って
付ける枚数は減っていきます。
コハダを淡く繊細にした味で
ほんとうに美味しい。
もう、30年近く前でしょうか。
当時の銀座「すきやばし次郎」に
運転手付きのロールスロイスで乗り付けて
毎年、新子のにぎりだけ、それだけを食べにくる
ご高齢のお客が居た、と何かで読んだ覚えがあります。
贅沢なものを何もかも食べ飽きても
きっと新子だけは食べたかったのでしょうね。
さて。いま日本の海では
さまざまな魚種が激減しています。
(世界中で、と言い換えてもいいのですが)
お寿司の値段がここ5~6年、
バカみたいに高騰しているのは、
この海の枯渇と関係しています。
(ま他の理由もありますが)
10年以上前なら当たり前に市場に
出回った魚が、出回らなくなり、型が小さくなり、
良いモノは競るために仕入れ値が高騰します。
原因は温暖化、乱獲、
港湾整備などで稚魚が育つ環境が無くなるなど
さまざまですが、このままだと
食べられなくなる魚が続出するでしょう。
今朝の新聞に、
禁漁に踏み切った浜で聞いたこととして
以下のことばがありました。
「人間のやったことに、海は答えを返してくれる」
ネガティブにも、ポジティブにも
受けとれることばです。
梅雨の合間のすがすがしい空のもと
新子がいつまでも食べられる日本の海でありますようにと、
祈らずにはいられません。
人間がやったことに・・・
植物たちは答えを返してくれる。
動物たちは答えを返してくれる。
海山は答えを返してくれる。
自然は答えを返してくれる。
地球は答えを返してくれる。
★
いかがでしたか。
自然の声に耳を傾けてみたい週末。
ではまた次回のブログ更新もお楽しみに!