
2025年3月1日
マニュエル・トッドの 「西洋の敗北」から
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今回はブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が
“マニュエル・トッドの 「西洋の敗北」から”
についてお話しします。
それでは早速どうぞ!
★
エマニュエル・トッドの
「西洋の敗北」が話題です。
トッドさんは人口学者で
人類学者でもあるのですが
欧米にとって都合の悪い、
見たくないことをズバズバと
言っています。
トッドさんは、
西洋の敗北の原因として
3点を示しています。
ひとつはアメリカの産業力の低下。
アメリカのGDPには
虚構の部分がある、としています。
1965年以降、
エンジニアの育成が不十分で、
教育水準の低下が進行している。
人口が半分以下のロシアの方が
エンジニアの数は多いのですね。
簡単に言うと国外からやってきた
エンジニアや留学生で支えられている。
モノづくりはアジア、
アメリカは頭脳部分だけ。
この体制でシリコンバレーが動き、
GAFAが発展してきてわけですが
ひょっとしたら空洞化を
推し進めているのかもしれません。
産業力の低下は・・・
ウクライナにアメリカの軍需産業が
十分な兵器を提供できないことでも
証明できるようで。
ロシアは極超音速ミサイルや
南極まわりでアメリカを攻撃できる
RS-28サルマト大陸間弾道ミサイルを持っているけど
こうした兵器も最近のアメリカはつくれてない。
最優秀の学生はモノづくりではなく
金融やコンサルに流れる。
二番目はプロテスタントの
文化が消失したこと。
かつて西洋の発展を支えた
この宗教的な文化、心性がだめになって、
知的水準や勤勉さを無くしたこと。
マックス・ヴェーバーさんが
証明したように
禁欲的なプロテスタンティズムの精神から
資本主義は発明されています。
それが、ほぼ消えた状態。
儲かること至上主義と効率性と
ドラッグの蔓延とコミュニティ崩壊は
コインの裏表であり、
プロテスタンティズムの消失の印かもなあ、
と個人的には感じています。
三番目に教育水準の低下。
アメリカを中心に教育水準が低下し、
知的エリート層の質が劣化しているそうです。
これらの要因が組み合わさって、
西洋の影響力と地位が低下しつつあると
トッドさんは指摘しています。
知的エリート層の歴史的な大局観が
失われているんじゃないかと
個人的には思います。
アングロサクソンのビジョナリーな能力、
構想的に物事を実現する能力が
劣化している。
トッドさんは
日本は西洋の一部としてではなく、
ネオリベラルな極西洋(米英仏)と
「その他の世界」の仲介役を
果たすべきだと言っています。
確かに日本は
それができるかもしれません。
★
いかがでしたか。
地理的には極東に位置し、
島国であるがゆえ単一民族が独自の文化や価値観を
築いてきた日本。
東洋と西洋、どちらのエッセンスも受けながら、
まさに独自に発展してきたといえます。
日本の果たすべき役割、
私たちが思っている以上に
重要かもしれません。
その環境ゆえ、
自国のことのみにフォーカスしがちですが、
まずは日本人全員がもっと世界に眼を向ける
必要がある、そんな気がしました。
それでは、次回のブログ更新もお楽しみに!