2020年10月9日
武士の明治維新三点セット!
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
夏が終わったと思ったら、一気に冬のような寒さです。
台風14号の影響もあると思いますが、
寒暖差は風邪を引きやすいので気をつくて下さいね。
さて、シリーズのように続いている
「日本式システムをどう再生するか」というテーマ。
次回、完結の予定ですので、もう少しお付き合い下さい。
今日のコラムでは、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
こちらの記事「武士の教養」の続きで、
武士の明治維新三点セット!についてお伝えします。
三点セットとは何でしょうか。^^
それでは、早速。
★
さて。
日本式システムの欠点
****************
自己変革力の欠如
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なのに、なぜ、明治維新は成功したのか?
世界史的に見ても、これほどの政体の移行を
ほぼ内戦状態にならず、成し遂げた例を
不勉強のせいかもしれませんが、私はほとんど知りません。
(もし、事例をご存知の方はぜひお知らせください)
だったら明治維新の秘密を探ることが
自己変革力を取り戻すきっかけ、
となるかもしれない。
ということで前回伝えたのは、、、、
まず、江戸期の武士や知識階級の教養は
世界レベルだった、という事実です。
当時の日本の推定人口が約3200万人。
うち武士階級が7%、
公家・神官・僧侶が1.5%。
ということは約272万人前後の
読み書きができる知識階級が
居たことになります。
さらにうち1%程度をトップクラスの
インテリだとすると2万7千人ほどの人材を
日本は要していたことになります。
彼らが自由に使いこなせたのは中国の古典。
そしてごく一部の者は、その漢籍の素養を
身に着けた上で、オランダ語を介してですが
西洋の文物・科学も学んでいた。
ごく一部と言っても
安政4年(1857年)の江戸には
58もの蘭学塾があったそうです。
芝蘭堂(大槻玄沢の塾)
小森玄買の塾
象先堂(伊東玄朴の塾)
適々斎聖(緒方洪庵の塾)
この、わずか4つの蘭学塾の
門人累計だけでも1,454名。
全国の藩からほぼくまなく集まっている。
※蘭学者の地域的・階層的研究 :
門人録の分析を繞って(法政大学)より
これ、鎖国していたのに、
すごくないですか?
トップ1%27,000人の
さらに20%としても5000人前後の
世界を知る人材がいた。
つまり、現在で言えば
中国語で基礎的な教養を身に付けながら
西洋の言語で世界の最先端の医学、軍事、自然科学、化学まで
学んで身に着けている人間が各藩に居たことになります。
まあ、中国語、オランダ語は喋れないにしても
マルチリンガル、マルチカルチャー的な視点で
考えたりできる人が200年ほど前の、この国に、
けっこうな数いたのですね。
で、かつ彼らは武官でもあった。
つまり、平時は官僚、行政官、役人であり、
戦時は戦闘員でもある存在。
「常在戦場」です。
侍の核心は「ノブレス・オブリージュ」です。
位貴きは務め重し、ということ。
<身分の高い者はそれに応じて 果たさねばならぬ社会的責任と 義務があるという、 欧米社会における基本的な道徳観。 もとはフランスのことわざで 「貴族たるもの、身分にふさわしい 振る舞いをしなければならぬ」の意。>
※コトバンクより
欧米社会を武士に、フランスを日本に、
貴族を士族に、
変えればそのまま侍の心構えです。
「いざ鎌倉」の心意気を持っている人間が
幕末にもたっぷりいた。
社会の平安が乱れるときに
その平安を保つためにすべきことを
誰に言われずとも為すのが私の責務である、
と考える人間が、幕末期に日本には数千人も居た
ということなのです。
徳性において、これだけの高い倫理観を持った
トップクラスの知識階級が数多くいたこと。
このことが、明治維新の
本当に大きな力になったと断言できます。
ちなみに、武士が鍛錬を続けた武道は、
どのような日常も「常在戦場」のうちにあるとして
心身を最適な状態にコントロールする技術です。
(私の理解ですが、、、、)
アクシデントや想定外を
如何に心身の想定内のものへと収めうるか。
逆に言えば、どのような状態でも
感覚的なインプット、アウトプットのスピードを
思考の速度よりもはるかに早く行えるようにする。
これが武道のテーマなのです。
感性のうちに身体が
勝手に動いてしまう状態をつくること。
そして、どのようなときも
平静な意識状態、十分に気が充実した状態を
創れること。
「感性」と「胆力」を武士たちは
四書五経や蘭学のかたわら磨いていたんですね。
ということは、、、、
徐々に見えてきたでしょうか。
「教養」+「ノブレス・オブリージュ」+「常在戦場」
世界レベルの教養、非常に高い倫理観、鋭敏な感性と胆力。
まとめれば、明治維新を成功させたのは
この“サムライ三点セット”ではないかと考えます。
これは「知性」「徳性」「感性」の三点セットでもあります。
(最後の「感性」には「胆力」も入りますが)
この心身三点セットの厚みが
いまの自己のリアルな在り様を客観視し、
江戸から明治への変革を推進する
土台となったのではないかと強く、強く思います。
変革は、現状の
正確な把握からしかもたらされません。
良いも悪いも、自己を冷静に見る力がなければ
何を変えれば良いかすら分からないからです。
また、変えることには痛みや抵抗が生じます。
それも代入した上でGo beyond!
と言えるのか。
それを自らに問うて、実行すると決断したのが、
彼ら1800年代の侍たちだったのです。
自己変革は、、、
1) 認識力の涵養
2) 認識力の獲得
3) 正確な自己認識
4) 変革すべき処の確定
5) 変革のための行動の決定
6) 変革行動と評価
7) 変革の達成
、、、という順番で起こります。
このステップは、
いろいろな歴史を見ても思いますが、
「知性」「徳性」「感性」プラス「胆力」がないと
実行し、成功することはむつかしいでしょう。
ということは迂遠な周り道に見えて、、、
こうした人材を作り出すこと
こうした人材を見つけること
、、、がもっとも自己変革を行うための
近道だと思うのです。
★
いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!