2020年9月28日

日本式システムを蘇られせるには

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
日本式システムについてお伝えします。

それでは、早速。

 

 

前回のこちらのコラム

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このコロナ禍以降、
ビジョンがものすごく大事になってきます。

なぜなら、
荒波の世の中になるからです。

もう、荒天の海のように
感じている方も多いと思います。

しかし、このコロナの嵐、
さらに荒れ狂う海になる可能性が高い。

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と、お伝えしました。

 

春に日銀が、無制限で国債を買い入れる、
というニュースが流れましたが
市場は限定的にしか反応しませんでした。

経済は素人なので
あまり確定的なことは言えませんが、、、、

 

===================
今回のコロナ・ショックは、
「流動性リスク」ではなく、
業績が急速に悪化する企業に
資金繰り支援ができるかという
「信用リスク」を誰が取るかなんです。

この点、日銀にできることは、
せいぜい社債やCPが発行できる大企業から
それらを買い取るくらいのことしかなく、
大半の企業は救えません。
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https://newspicks.com/news/4854779/
安東 泰志さんのコメントより
ニューホライズンキャピタル株式会社 CEO

というのは、
素人ながらにそうなんだろう、と思います。

※流動性リスクとは
売買が極端に少なくなることで取引が
成立せず、売りたいときに売れない
可能性があるということ、、、
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ri/J0090.html

※信用リスクとは
有価証券の発行体(国や企業など)が
財政難、経営不振などの理由により、
債務不履行(利息や元本などを
あらかじめ決められた条件で
支払うことができなくなること)
が起こる可能性をいいます。
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/si/J0087.html

 

信用リスクを誰が取るか?
なんですね。

飲食業、観光業とで言えば、、、

そこに一次産品を下す業界も
二次的な製品を供給する業界も
その流通を支える業界も
設備などの業界も
人材を供給する業界も
ドミノのように倒れる可能性がある。

特にキャッシュを持っていない企業は。

この場合、信用リスクを取れるのは
金融機関と政府などの公的なものだけ。

そこだけは素人にも分かります。

しかし、現状の制度を使って
支給しようにも、
日本の制度、仕組みは
のろのろと2か月先の
資金供給しかできないのが現実です。

この遅さは致命的です。

いま資金が尽きようとしている
企業への貸し付けの手続きに
2か月かかる。

いますぐ輸血が必要な患者に
2週間後に行います、
と言っているようなもの。

システムは、
最も負荷がかかったときに
そのシステムの欠陥が
露になります。

日本式システムの
最大の欠陥は、
この「スピード」だと思います。

コロナの対応を見ても、
他の国と比べても
圧倒的にスピードが遅い。

では、スピードの遅さは
何処から来るのか?

ちょっとご自分の経験などを
踏まえながら考えてみてください。

私は、このスピードの遅さには
3つの大きな要因が潜むと考えます。

ひとつは、リーダーシップの欠如。

危機のときに露になるのは
リーダーシップの在り方です。

ビジョナリーな組織は
行動原理が明確なため、
またリスクをとれる体制が
できているため、、、

誰かが責任を負って
スピーディに下した判断を
組織がくるくると回していけます。

つまり、リーダーシップと言いながら
各階層ごとのリーダーが
リーダーシップを発揮できる組織になります。

つまり、自律的に動ける組織です。

これは強いです。

つまり、2番目の要素は
組織の自律性ということになります。

ダメな組織に共通するのは
原理原則が定められたルールではなく
「特定の人の意向」に在ることです。

その場合、意思決定においては
情報が下から上までいちいち
面倒なルートを通って行き来をします。

意思決定にとても時間がかかります。

さらに情報が何階層も
経てくるため劣化するのですね。

意図が正しく伝わりにくくなる。

その結果、正しい戦略と
正しい戦術の採用がブレるということが
起こり始めます。

 

自律性の弱い組織は
自らを客観視する能力が弱くなります。

なぜなら行動が
上層部の意向に依拠するからです。

これを「まあ、何も考えるな」状態、
と言います(笑)

何かを感じてはいるけれど、
思考停止し、改善案も考えず、
長いものに巻かれ放題というわけです。

やばい、ですよね。

実に、こういう組織は
やばいんです。

そして、これらから導き出せるのが、
3番目の要素です。

「スピード」よりも、
致命的な欠陥に至ります。

それは、
変わることが求められているときに
自己変革ができない、
という大きな欠陥です。

これは自分のダメな部分に
向き合うことができない、
ということを意味します。

向き合うのがイヤ!

体重が増えつつあるのに
体重計に乗るのがイヤな女性。

血液の数値が悪いのに
お酒がやめられない中年の男性。

向き合うのがイヤ、
という典型的なパターンですが
これはある種の依存です。

「大丈夫だと思いたい自分」
への依存です。

私たちたちは、どうも、
向き合うことが下手で、
イヤなことは忘れたいと思いたい
そういう民族のようです。

なので、ここで
思い切り私が痛みを
引っ張りだしているのですが(笑)

自己変革は、自分のそのものの
客観視の力がないとできません。

いまの自分を完全に露にする。

100%のハダカ。

良いも、悪いも、
くだらないも、素晴らしいも、
下手も、上手も
ぜんぶ丸裸にして受け入れるところから
始めないと自己変革はできません。

わたしの
「持てるもの」「できること」
「持たないもの」「できないこと」
そして「傾向」「性質」が分かったとき。

そのときに、
変わるための「戦略」を描くことができ、
変わるための「ステップ」と「スケジュール」を
設定することができます。

先進国の中で、
1995年以降の巨大な変化に
たぶんもっとも対応できていないのが
日本の可能性が高いと私は思っています。

 

日本式システムの欠陥を
まとめます。

****************
(1) スピードの遅さ
(2) リーダーシップの欠如
(3) 組織の自律性
(4) 自己変革力
****************

 

ほんとはもっとありますが、
とりあえず、ここまでです。

ここから導き出せる結論は
日本式システムあるいは組織は
「平時の運営システム」である、
ということです。

緊急時、激動期、混乱期、
戦乱、災害などのときには
なかなか機能しないのですね。

「想定外」という言葉は
東日本大震災以来、
つまり福島原発以来、
口にしにくくなりました。

でも、つい言ってしまいたくなる。

いまでも政治家がときどき
口にしているように思います。

でも、この言葉は本来、
政治家がもっとも口に
してはいけない言葉です。

なぜなら、
政治家は国のあらゆる事態を
想定して国を運営するために
権力という危険な道具を
国民から負託されているからです。

「想定外」に対応することこそが、
政治家のど真ん中の仕事です。

“平時”であれば優秀な官僚が
いれば十分なのです。

つまり、政治家が「想定外」を
口に出すと言うことは自己矛盾を起こしている
と考えてください。

それは消防士が「火事を
想定外の出来事とみなす」くらい
奇妙でおかしなことなのです。

最初に言いましたが、
システムの能力は過酷な環境での
限界領域で現れます。

どのような市販車であっても、
現在、40kmで走ることで
差は生まれません。

ベンツで走ろうが
中古の軽自動車で走ろうが
大した差は出ません。

しかし、アウトバーンのような
速度無制限の道を走るとき、
アフリカの奥地の道を走るとき、
車というシステムの能力、性能は
露になります。
時速250kmでも路面に
張り付いたような高速航行を
何時間もできる車と。

140kmを超えるだけで
車体がぶるぶると妙な挙動をする車。

システムとしては
まったく別物であることが
露になるのです。

日本式システム、、、、

これらをどうクリアするか、
すくなくとも欠点として目立たなくする
方法を明日から考えていきます。

ただ、基本的に、これらの悪癖を
完全になくすことはできません。

欠点は長所の裏生地であるからです。

私たちの素晴らしい特質が
こうした悪癖を生み出しているからです。

だから、矯めて(ためて)、
目立たなくする戦略を考えましょう。

矯めるとは
悪い性質や習慣を
直していくことを云います。

 

 

いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!