
2025.12.13
ブランドの「恥ずかしい歴史」は財産かもしれない件について
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今回はブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が
『ブランドの「恥ずかしい歴史」は財産かもしれない件について』
をしたいと思います。
その前にお知らせです↓
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それでは、本題へどうぞ!
★
地方企業の相談に乗っていると、
よく言われるのが
「ウチには語る歴史なんてありませんよ」
という言葉です。
でも、実際に話を聞いてみると、
創業当時の苦労話や、
先代の強烈なキャラクター、
地域に根ざした小さな物語が
ゴロゴロと出てきます。
面白いのは、それらの物語は
“誰も価値があると思っていない”ということ。
むしろ「あんな昔話をしても恥ずかしいだけ」
と思われている。
でも、外から見ると、
その「恥ずかしい歴史」こそが
ブランドの源泉になったりするのです。
私はこれを「歴史の編集」と呼んでいます。
ただ、歴史そのものを語る必要はありません。
大切なのは「何を残し、何を削るか」
「どの角度から照らすか」です。
まさに編集作業です。
たとえば、100年続く醤油屋さんが
「衛生管理が大変だった時代の創意工夫」を
語り直すだけで、現代では
“クラフト精神の象徴”として響き始める。
別府で温泉土産をつくる会社が
「湯治文化を支えてきた陰の立役者」
という切り口で再編集するだけで、
物語の景色がガラッと変わることもあります。
面白いのは、歴史を編集すると
“現在の意味”が整い始めることです。
「あの時代があったから今がある」
という“点と点”がつながり、
社員もお客様も「なるほど、そういう会社なんだ」
・・・と納得できるようになる。
地方企業は、都市の企業のように
最新設備や派手な広告では
なかなか勝てません。
その代わりに「時間」という
誰にも奪えない資源を持っている。
これを活用しない手はありません。
たとえば京都の地の企業のように。
歴史は変えられない。
でも、語り方は変えられる。
ナラティブをつくる。
語り方が変わると
“会社の見え方”が変わります。
見え方が変わると
“価値の感じられ方”が変わります。
もし、あなたの会社にも、
語られていない昔話や、先代のこだわり、
地域との長い関係性があるなら、
一度それを丁寧に拾い集めてみてください。
それはきっと、未来をつくるための
お出汁たっぷりの最高の素材になります。
ぜひぜひ、小さなブランドは、
この「美味しい歴史」の編集に
取り組んでみてください。
★
いかがでしたか。
その会社に歴史あり。
さまざまな固有の体験の積み重ねの集合体が会社。
積み重ねてできた物語は、
どこにも似ていないはずです。
点を掘り起こし、点と点をつなげ、
物語を紡ぎ出し、あなたが語る。
そこには、どこにもないナラティブがある。
それでは、またの投稿をお楽しみに!
