
2025.11.29
ウォルマートの「ハイパー・パーソナライズ」とは?
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今回、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が
お届けするテーマはこちら。
『ウォルマートの「ハイパー・パーソナライズ」とは?』
その前にお知らせです↓
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それでは、本題へどうぞ!
★
2025年のマーケティングトレンドは、
「AIの実務定着」です。
そして、AIを実務で使うほど、
それに対して「人間味」をどう加えるのかが
課題となっています。
単に新しいAIを使うだけでなく、
「タイパ」を重視するユーザーに
いかに深く刺さるコンテンツを届けるか。
ここが勝負の分かれ目なんですね。
いまクリエイティブは急速に自動化されています。
広告コピー、記事構成、画像生成だけでなく、
動画生成AI(SoraやRunwayなど)も含め、
低コストで大量のコンテンツがあふれるようになります。
従来はクリエイターが
生み出したアイデアから
ひとつを選び、制作し、市場に出す。
あるいは、
せいぜい2つのバリエーションを制作し、
反応を見て、どちらかを選ぶやり方でした。
しかし、ある程度の質のものを
ごく低コストで大量に生み出せるようになると・・・
たとえば10個のクリエイティブ・アイデアを
一気にテストして最も反応が良いものを
拡大するやり方に変わっていくのではないか。
通販ビジネスが10年以上前から行っていた
やり方を巨大ブランドが手掛けるようになる
可能性が高いと考えます。
さらに、生成AIの能力を使って
顧客一人ひとりの行動履歴にそって、
「最適なタイミング・文脈」で
広告やメッセージを自動生成して
送ることが始まっています。
「ハイパー・パーソナライズ」
という手法です。
たとえばウォルマートは、
今年、ウォルマートアプリに
ショッピングエージェントの
「Sparky」を公開しました。
あなたが「5歳の娘の、キティちゃんを
テーマにした誕生日会をしたい」と
「Sparky」にチャットで伝えると、
単に商品リストを出すのではなくて・・・
招待状のデザインからパーティーの飾りつけ、
ケーキ、プレゼントまで顧客の要望をくみ取った
「解決策のパッケージ」を、
その場で生成・提案するのです。
あるいはNikeは同じく生成AIを活用し、
広告の背景やモデルをユーザーの属性や
好みに合わせて変化させています。
例えば、都会に住むユーザーには
「街中でのランニングシーン」を見せ、
自然を好むユーザーには「森でのトレイルラン」など。
商品の魅力が、その人に最も伝わる文脈に
画像を自動変換して配信する実験を行っています。
この流れは、同じブランドでも、顧客によって
まったく違った体験を受け取ることになる
そういう近未来を指し示しています。
『スロウ・ブランディング』の第5章で書いた未来は
私が思うよりももっと早いスピードで実現しそうです。
★
いかがでしたか。
日常でも仕事をしていても、
かなりの領域にAIが入り込んでいます。
これまではプロに頼まなければできなかったことが、
AIでできることが格段に広がっています。
先月末にもまたGemini3.0の登場、
世間にその能力が驚きを与えています。
AIによってブランドのあり方も
大きく変わっていくことは間違いありません。
変化を注視し続けつつ、
考え続けることはやめないようにしないとですね。
それでは、またの投稿をお楽しみに!
