
2025.07.09
アメリカの反知性主義とトランプ支持率
こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今回はブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が
「アメリカの反知性主義とトランプ支持率」
というテーマでお話しします。
それでは早速どうぞ!
★
ハーバード大学が10億5千万ドルの
予算不足に直面しています。
↓
https://www.wsj.com/us-news/education/harvard-trump-funding-budget-cuts-1dc5bf2f?mod=hp_lead_pos7
出典:The Wall Street Journal
大変だなあ、ハーバード。
でも、今後、ハーバードは
こうした政府の干渉を逃れるために
予算確保の仕方を変革することになるはず。
トランプさん、一時は大学を困らせるけど
最終的にはタフにすることに手を貸しています。
アメリカの大学への抑圧の背景には
アメリカの「反知性主義」があると思います。
これは、知識人や専門家、論理的思考を軽視し、
直感や経験、常識を重んじる態度です。
最近の日本もちょっと似てきていますが。
SNSでの情報の氾濫が始まり、
自分に都合の良い情報しか接しない
フィルターバブルが当たり前になってきて
この「反知性主義」的な言動が
当たり前になってきました。
アメリカは、さらに背景に、
ピューリタン的信仰に基づく「信仰>知識」という価値観。
また、開拓時代に形成された実用主義。
(19世紀末のアメリカで生まれた
プラグマティズム哲学の淵源ですよね)
加えて「誰もが平等であるべき」
とするポピュリズム的な精神があります。
以下は「人間の進化」に関する
2024年のギャラップ社(Gallup)の調査です。
1) 神が人間を現在の形で創造した:37%
2) 神の導きで進化した:34%
3) 神の関与なしに進化した:24%
↓
https://news.gallup.com/poll/21814/evolution-creationism-intelligent-design.aspx
出典:Gallup
つまり、ダーウィンの進化論を否定
または神の関与を重視する創造論的立場の人は
合わせて約7割にも上ります。
それでも進化論支持は徐々に増えていますが。
このような土壌がアメリカの当たり前なんですね。
イランが
「イスラム原理主義的な宗教国家」であるように
アメリカは嫌な言葉づかいをすると
「キリスト教原理主義的な宗教国家」なのです。
そこをベースに反知性主義が噴出している。
「エリートを養成する大学は敵だ!」という
シンプルな構図。
でも、トランプさんも
ペンシルバニア大学ウォートン校という
MBAではハーバードと一、二位を争う
名門の出身なんですが。
それはあまりアメリカでは
突っ込まれないんですね(笑)
不思議なことに彼は、
「エリートは信用できない」「ワシントンは腐敗している」
と語ることで、労働者層の不満を代弁しています。
おれは庶民派だ!労働者の代表だ!
腐ったエリート政治をぶっこわす!
いろいろなものを壊して、
というより同盟関係をこれだけ毀損する
国のトップって見たことないのですが。
この破壊から「偉大なアメリカ」を
創ろうとしているのでしょうが
その企みが成功するようには到底思えない。
成功するとアメリカの皆さんは思っているんでしょうか。
以下の支持率調査を見てもよくわかりません。
今週7月1日時点のものです。
3月を境に不支持が多くなっています。
支持: 45.2%
不支持:51.1%
↓
https://www.natesilver.net/p/trump-approval-ratings-nate-silver-bulletin?utm_source=chatgpt.com
出典:Silver Bulletin
★
いかがでしたか。
アメリカに渦巻き巨大化する反知性主義。
一大国家アメリカの趨勢は、
大なり小なり世界に影響を及ぼしていきます。
日本は、もうすぐ衆院選。
どんよりと日本にも覆っている反知性主義。
衆院選の結果次第では、
さらに加速していくかもしれません。
それでは、次回のブログ更新もお楽しみに!