2020年12月14日

ヴァリニャーノさんの日本報告書〜日本人の長所と短所について

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
「ヴァリニャーノさんの日本報告書」より
日本人の長所と短所についてお伝えします。

それでは、早速。

 

 

ちょっと長い引用になりますが。

とある本の中で、
とある文章に出会いました。

なんとも不思議な気持ちになったので
それをお伝えしますね。

 

以下に「日本人の長所」を書きます。

  • 極めて礼儀正しい。
    貴族ばかりでなく一般庶民や労働者も
    驚くべき礼儀をもって上品に育成され、
    あたかも宮廷人のようである。

 

  • 人々は有能であり、
    すぐれた理解力を持ち、
    子供たちはヨーロッパの子供よりも
    はるかに容易に短期間にわれらの
    ことばで読み書きを覚える。

 

  • いずれもみなすぐれた理性の持ち主で、
    高尚に育てられ、仕事に習熟している。

 

  • 一般的には庶民も貴族も
    きわめて貧困であるが、
    貧困は恥とは思っていない。

 

  • 家屋ははなはだ清潔で
    ゆとりがあり、技術は精巧である。

 

  • 世界でもっとも面目と
    名誉を重んずる国民である。

 

  • はなはだしく武器を重んじる傾向があり、
    階級を問わず、12歳か14歳になると
    みな短刀と太刀を持って歩く。

 

  • 一度戦うとなると相手を殺すか
    双方とも死に至るまで徹底的に戦う。

 

  • きわめて忍耐強く、飢饉や寒気や、
    人間としてのあらゆる苦しみや
    不自由を耐え忍ぶ。

 

  • 身分の高い人間も、
    子供の時からこれらの苦しみを
    耐えるようにならされている。

 

  • きわめて強大な領主が自国から追放され
    窮乏と貧困を耐え忍びながら平静な態度で
    安らかに暮らしているのをたびたび見かける。
    この忍耐力は環境が常に変化することに起因している。

 

  • 感情を表さない。柔和で忍耐づよい
    という点では、日本人は他国人に
    秀でていることを認めざるをえない。

 

  • 人と接するときは、いつも明るい表情をし、
    自分の苦労についてはひとことも触れないか、
    あるいは少しも気にしていないかのような態度で
    一笑に付してしまう。

 

  • 一致と平穏がよく保たれており、
    平手や拳で殴り合って
    争うといいことがない。

 

  • 服装、食事、その他すべてにおいて
    きわめて清潔であり、美しく調和が保たれている。

 

以下に「日本人の短所」を書きます。

 

第一の悪は色欲にふけること(最悪の罪は男色)

第二の悪は主君に対してほとんど忠誠心がないこと

第三の悪は欺瞞や嘘を平気で言うこと

第四の悪は軽々しく人を殺すこと

第五の悪は酒に溺れること

 

これらは、戦国時代の1579年に来日した
イエズス会東インド管区の巡察師
アレッサンドロ・ヴァリニャーノ
というイタリア人が書いたものです。

 

ローマのイエズス会の古文書館には
彼が書いた「日本諸事要録」という
報告書が残されている(そうだ)。

巡察師というのは
ローマ教会の布教が
世界でどのように行われているかを
視察&監督してあるく職種らしい。

で、実は、この人は、日本史で習う
あの「天正遣欧少年使節」の
企画・実施をした人なのだ。

 

いずれにしても
ここに書かれた日本人の長所と短所は
安土桃山時代から江戸時代初期の
日本の姿をかなり平静な目で見ています。
(ような気がします:笑)

つまり、
「俺様ヨーロッパ視点」では
少なくとも、このヴァリニャーノさんは
見ていない。

どのような国の、どのような国民も
それぞれ自国が、あるいは自国民が
いかに素晴らしいかを説きます。

その目で他国を見ます。

絶対的に優秀で素晴らしい国、国民も
絶対的にダメな国、国民も存在しないように
こうした記述や判断は、歴史的価値観の中での、
相対的な視点の中でのものにすぎません。

たまたま、このイタリア人の巡察師さんは
そういう公平な視点でおよそ400年程前の
われわれのご先祖様たちを見たのですね。

 

そして、この日本人像が、
ちょっと誇らしく
ちょっと笑ってしまい、
ちょっと考えてしまう。

そうじゃないですか?

 

ヴァリニャーノの報告の
現代風超短縮版をつくると・・・

礼儀正しくキチンとしてて
めっちゃ頭いいよ。名誉大好きで、
みんなさ、とにかく感情出さない。
あと、超我慢強いからね~。
で、貧乏だけど平和な社会なのよ。

エロ大好きで見境なしよ。
上の人のこと何とも思ってないし。
ウソ平気で言うし
人は殺すし、酒にのまれちゃう。

 

ほとんど今の日本を語っている
ように感じてしまう。(笑)
400年変わっていないのかもしれない。

 

ただ、「礼儀」「名誉」だけは
少し失っているのか、減じているのか。

読んでいて、
いまの私たちの日常の中に
あるのかな・・・と考えてしまった。

 

「礼儀」と「名誉」を
重んじて生きています?

少なくとも私は、その感覚は
ちょっとない。失っているのか。
もとからないのか。

で、社会全体にもあまり感じない。

 

落とし物として
どっかに落としてきたんだろうか。
それとも、まだどっかに
隠しもっているんだろうか?

 

日本らしさ、
日本人らしさって
何でしょうね。

 

しばらく考えてみようと
思いました。

 

 

いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!