2021年2月9日

デザイン立国ニッポンの勧め

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日のコラムでは、
ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
「デザイン立国ニッポンの勧め」についてお伝えします。

“すべての領域で「デザイン」と
「デザイン的アプローチによる問題解決」が
有効だ。” と、江上はいいます。

詳しくは続きをお読み下さい。
それでは、早速。

 

 

「先手必勝」
という言葉がある。

囲碁や将棋から来ている。

確率的に。そうらしい。

後手後手に回る、
ということばがあるように
「先を取らない」と
戦略を有利に進めることはできない。

しかし、「後手必負」
ということばない。

「後手」でも「先手」ほどではないが
勝ち目はある、ということだ。

 

サムソンはいまや
世界的なブランドだ。

デザインでも
世界トップクラスの
実力がある。

世界的なブランド会社の
調査でも最近はほぼ5位前後。

2020年発表は
Apple、Amazon、Microsoft、Googleの次だ。

製造メーカーとしては世界一である。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000104.000000092.html
https://www.interbrand.com/best-brands/

 

この原点は、
昨年死去したサムソン会長
李健熙(イ・ゴンヒ)氏が
1990年代初頭のアメリカ量販店で目撃した
サムソンの酷い扱いだった。

量販店の片隅でほこりをかぶったように
展示されている自社のテレビ。

彼は、物凄い危機感を抱いた。

そして、その彼に巨大な影響を与えたのが
京都工芸繊維大学名誉教授である
デザイナー福田民郎氏がサムソンに提出した
通称「福田レポート」だった。

そこには「デザイン」に力を入れないと
サムソンは世界的な企業になれないことが
描かれてあったという。

結果、彼の「妻と子ども以外はすべて変えろ」
という「新経営宣言」に繋がっていく。

 

韓国はいま国家戦略として
デザインに取り組んでいる。

韓国カルチャーの世界的な席巻は
文化戦略を通じたデザイン戦略にある、
といってよい。

 

シンガポールも同様だ。

中国ももちろん力を入れている。

台湾のデザインのレベルも
素晴らしい。

どの国も、
「機能 + 美意識 + 意味」
という3点セットでなければ
商品もサービスも生き残れないことを
知っているからだ。

 

日本は1980年代~1990年代、
非常に優れたプロダクト、建築、
ファッション、グラッフィックなど
すべての領域でかなりすぐれた
デザイン先進国だった。

ご想像のとおり、
いま建築と少数のファッションデザインが
頑張っているが、その他の力は落ちている。

経済と同じように中進国に
なりつつある。

 

ただ、歴史的にも民族的にも
日本人自身は、優れたデザイン感覚を
持っている民族であることは間違いない。

機能を様式美まで高め、
普遍性を持たせるまで昇華させていくのは
なまなかなことではない。

江戸期以前の日本の意匠・美術・工芸は
世界的に見ても、ほんとうに素晴らしい。

また、1980年代、1990年代の
日本のグラッフィク、ファッション、アートも
世界に冠たるものだ。

 

低迷する日本のパワーを
取り戻すヒントは、デザインにある。

なぜなら、
無いものを生み出すことは
なかなか出来ないが、
まだそこそこあるものを
活性化して盛り上げていくのは
それほどムツカシクないからだ。

レバレッジを効かせて展開し、
成功例から再現性あるノウハウを抽出。

そこを他領域に広げる戦略を取ればいい。

デザインによる経済活性化。

大企業病の克服。

起業家の輩出。

地方活性化。

スマートタウン。

官僚制の制度疲労の克服。

国家デザイン。

すべての領域で「デザイン」と
「デザイン的アプローチによる問題解決」が
有効だ。

そんなことを
とある世界的企業に提示しようと
いま、動いています。

中進国からのフロッグリープ。

ちょっとしたチャレンジですが。

 

いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!