2020年11月9日

シリコンバレーの危機感|シリコンバレーの旅より最終回

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こんにちは。ディープビジョン研究所です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。

米大統領選でバイデン氏が勝利宣言をしましたね。
しかし、トランプ大統領は敗北を認めていませんが、、、(トホホ)。

さて、今回のコラムも
こちらのシリコンバレーの光と影。スタンフォードで驚く〜シリコンバレーの旅よりの続きです。

ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫が、
2018年の夏、念願のシリコンバレーへ旅をしたときの
エピソードの最終回です。

新型コロナウィルス/covid-19の影響で、
今は、海外旅行にいけませんが、
江上のエピソードとともに旅の気分を味わってください。
(ビジネスツアーでしたが・・・笑)

それでは、早速。

 

 

シリコンバレーの旅、想像はついていたが・・・
ニッポン、JAPAN、日本の存在感は皆無でした。

ほぼ・・・・皆無。

 

私は、個人的にはシリコンバレー万歳派ではないが
想像通りというのはこのことを言うんだなと。

1995年以降、ゲームのやり方は変わった。
ほとんど、というかごく一部の日本企業
ソフトバンクなどを除いて
亀とウサギどころか、亀とフェラーリ状態である。

残念ながら。

 

世界のトップを走っている地域の
空気感はそうなのだな、と。

シリコンバレーでは、日本企業が入ると、
とたんにプロジェクトのスピードが落ちる
というのが常識になっている。

それは投資家であり、
元ソニーアメリカの社員だった
シリコンバレー歴20年の方が断言した。

会社にちょっと様子を探ってきてと言われて
何ができるのか、どこと協業できるか
という意識で来ても相手にしてくれるところはない。

 

明かな目的意識と何をビジョンとしており、
必要なものはこれだ!という明確さがないと
来ても意味がない。

当たり前だ。

 

残念だったのは、日本から進出した
チャットワークhttps://corp.chatwork.com/ja/
がシリコンバレーから撤退していたこと。

日本発のWEBビジネスサービスとして進出したが
スラックhttps://slack.com/intl/ja-jp/
などに押されたのか、それとも内部的な事情なのか
撤退してしまったのだ。

後に続く企業が出ることを祈りたい。

しかし、何か兆しはあるのか
Plug&Playというスタートアップ用の
インキュベーションセンターを最近頻繁に
訪れているのは、どうも日本人のようだ。

世耕大臣など、
けっこうなVIPのサインが壁に掲げられていた。

 

そして、想像はついていたが
中国の存在感は圧倒的だった。

Apple、Googleなどのビジターセンターに行っても、
スタンフォードに行っても
働いているアジア人、観光できているアジア人、
勉強しているアジア人の9割はたぶん、中国人。
日本人は1日歩いて1組か2組会うかどうか。

 

実は、シリコンバレーでは
このままでは中国に抜かれてしまう
という危機感が広がっている

アメリカの働き方はGoogle訪問のメルマガでも
紹介したとおり、9to5。
つまり、忙しくても9時5時だ。

中国はトップからして9to9。
平気で9時9時、それも週6日とか7日働くという。
そして、スピードはシリコンバレー以上。

日本は「垂直統合」という産業形で
1980年代まで世界を席巻した。

その後、世界はファブレスの、
つまり工場を持たない「水平分業」の世界に突入した。

つまり、リスクを少なく、
スピードを上げる新しい方法論だ。

この水平分業が中国では、
もう一度“垂直”に回帰している。

 

しかし、それは「垂直統合」ではない。
その名を「垂直分裂」という。

 

すべてがバラバラに存在しながら、
どこのパートとも連携でき、
また気に食わなければそのパートのみを差し替えても
最終製品が出来上がっていく。

そんな経済、産業のエコシステムの形。

誰も「信頼できない社会」が
逆に超フレキシブルなシステムを生んでしまったのだ。

 

歴史のパラドクスというほかない。

 

そのベースは進歩発展への貪欲さから生まれている。
つまりなりふりかまわない「欲望」だ。

 

以下はアメリカの大学へ送っている留学生数比較。
2017年のトップテンの数字である。
数字は左から人口、留学生総数、人口千人当たりの数。

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1.中国  約14億人  32万8547人  0.23人

2.インド 約13億人  16万5918人  0.13人

3.サウジアラビア 約2900万人  6万1287人  2.1人

4.韓国 約5千万人  6万1007人  1.2人

5.カナダ 約3500万人  2万6973人  0.77人

6.ベトナム 約9000万人  2万1403人  0.23人

7.台湾 約2400万人  2万1127人  0.88人

8.ブラジル 約2億人  1万9370人  0.1人

9.日本 約1億2700万人  1万9060人  0.15人

10.メキシコ 約1億2200万人  1万6733人  0.14人
============================

 

これは国力の差ではなく、たぶん意識の差だ。
個人的には「危機感」「当事者意識」の差だと見る。

 

それも高校生の「危機感」「当事者意識」の差ではなく
彼らを取り巻く大人たち、彼らが環境で接する情報に含まれる
「危機感」「当事者意識」の差だ。

 

ブランドをつくるにしても
こうした流れ、動き、展開を予想しないと
ビジネスが足元からすくわれてしまう。

ブランドをつくるときには
「流れ」「潮目」のウォッチ、観察が欠かせない。

あなたの目に世の中はどう見えているだろうか?

 

いかがでしたか。
次回の更新もお楽しみに!